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身の丈にあった図書館 〜ツタヤもスタバもなくったっていいじゃん

昨年の7月に再開した陸前高田市立図書館に行ってきた。
 
2011年4月、陸前高田に2度目の取材で訪れた僕は、図書館へ向かった。図書館の裏には、多くの人が犠牲になった体育館があり(当時、図書館で働いていた司書さんたちもそこで亡くなったと思われる)、そこを一通り撮影した後、博物館の資料・展示物や、図書館の蔵書が散乱する中、それを片付けて救出している司書さん学芸員さんたちに頼んで中を撮影させてもらった。長く本に携わってきた人間として、やはり書籍の無残な姿を見るのは胸にしみるものがあったのを覚えている。
 

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それから6年半で、ようやく図書館が再開した。
その間、仮設の図書館や移動図書館で陸前高田の図書文化を支えてきた司書さんの話は、拙共著「復興なんて、してません」(第三書館)で長岡義幸さんが書いてくれているので、良かったら是非読んでください。
 
陸前高田は、今でも市街地のかさ上げ工事がようやく完成の目処がたったという程度で、復興していく新しい街の中心地には、まだまだほとんど何もない。そんな中で、商業施設「アバッセたかた」に併設された形で図書館が再建された。
 
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延べ床面積は、震災前の図書館とほぼ変わらずだそうですが、まぁ全体的にはこじんまりして、決して大きな図書館ではない。ただ、天井を吹き抜けにして全体的に開放的な空間になっており、利用者が座って本を読めるスペースもしっかり確保。
蔵書は、約6万5000冊。人口からしてみると、市民一人あたり3冊強なので平均的とも言えるし、2万人弱という人口規模から考えると仕方ないけど、全国の図書館で中規模程度というと蔵書10万冊くらいかなって思うので、やはり小ぶりな印象は拭えない
 
それでも、市民が利用しやすい環境を整えたという意味では、いい図書館だと思う。
まずは立地が最高。いまはまだしも、いずれ復興が進めば市の中心地になり利便性はいいはず。前述したように開放感のある空間で、居心地も良くて本を読むのにいい環境だ。
 
ここには、TUTAYA図書館のように、大手書店やレンタル店は併設されてないし、スタバもない。
でも、図書館から繋がる出入り口からアバッセに入れば、徒歩3秒くらいで地元の書店「伊東文具店」が営業している(伊東文具店さんについては、前述した「復興なんて〜」のほか、昨年末に長岡さんが出された「『本を売る』という仕事」[潮出版]に詳しく書かれています)。
別の出入り口は、「やぎさわカフェ」と繋がっていて、そこで購入したコーヒーなどは、カップに蓋を付ければ図書館内に持ち込むことも可能なので、お茶をしながら本を読むこともできる。
 
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蔵書は決して多くないけど、一つの特徴として、震災関連の書籍の揃え方がすごい。拙著の関係では、「3.11絆のメッセージ」「自由報道協会が追った3.11」「風化する光と影」「震災以降」「復興なんて、してません」を置いてくれていた。そのほか、主だった(話題になった、売れた)震災関連本はもちろん、僕の周囲の記者たちの関係した震災関係の本は、みんな揃ってたと思う。
 
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ここには、商業主義で頓珍漢な選書ではなく、司書さんたちが全国からの寄付を受けながら大事に選んだ本が並んでる。
なので、陸前高田に訪れて、震災についてのことや、あるいはこれまでのことを知りたかったら、図書館に立ち寄るのもいいんじゃないかなって思います。
 
今の司書さんたちが、これからどんな風に図書館を運営していくか、市民たちがそんな図書館をどうやってうまく利用していくか、これからにかかっているけども、スタバもない、ツタヤもない、それでも陸前高田の住民や地元商店たちと一緒に、これからの図書文化を作っていくには、すごくいい施設ができたんじゃないかなって感じたよ。
陸前高田に訪れることがあったら、ぜひ足を運んで見て欲しいです。
 
 
追記
やぎさわカフェは、地元では有名な醤油造りの会社が作ったカフェで、この八木澤商店さんのポン酢が絶品!昨日もこのポン酢で鍋を食べましたが、このポン酢のために鍋や料理が食べたくなるほど病みつきになります。八木澤商店さんの7年についても、いずれちゃんと記事にしたいです。


 

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