『浅草においでよ!』H20年度版より【8】
「浅草においでよ!」平成20年度版より font size>
粋な街 花の街 浅草さんぽ道 font size>
明るく、気さくで、親しみやすい
花街を彩る浅草芸者 [その2] font size>
現在、東京には新橋をはじめ6つの花街がありますが、浅草には10軒の料亭と約50人の芸妓衆がいて、浅草花柳界を盛り上げています。
聖子さんは、踊りを仕事にしたいと芸者になった、人気の浅草芸者。私たちにとって、馴染みのあるようで、なかなか詳しく知ることのできない「芸者」について、少しだけ教えていただきました。 font size>
この記事は、『浅草においでよ!平成20年度版』に掲載された記事を、一部加筆・修正して転載したものです。 font size>
■観光イメージ役、伝統文化の担い手……
■浅草芸者の“仕事”
芸妓衆の仕事は、さまざまです。大きな目的としては、料亭のお座敷に来る客を「もてなす」ということ。
まずは、踊りや音楽で芸を披露します。芸者とは「芸を売る者」で、日頃から稽古に励みお座敷で披露するのです。また、お座敷の遊びとしていくつかのゲームがあります。有名なものでは「とらとら」「金比羅船々」などがありますが、二人で勝負をして、負けると杯を飲み干す「罰杯」となります。
もちろん、お座敷の基本は、客が会話や飲食を楽しむところ。踊りやゲームだけではなく、会話や飲食の間をとりもって、コミュニケーションの潤滑油となることも大事な「もてなし」です。
こうした、お座敷でのもてなしのほかに、浅草芸妓衆は、もう一つの大きな役割を担っています。
それは、観光地として賑わう浅草のあらゆる行事やイベントに華を添え、浅草の伝統文化を披露することです。浅草寺の節分会、金竜の舞、東京時代まつり、羽子板市、そして浅草でもっとも大きなイベントである三社祭など、普段は観音裏の料亭でしか見られない芸妓衆が、地元の行事の際に表へ出てくるのも浅草花柳界の特徴です。
これが東京の他の花街との大きな違いで、こうした地域に根付いた活動や、浅草という下町気質が、明るく、気さくで、親しみやすい浅草花柳界の雰囲気を作り出しています。
「昔のように『一見さんはお断り』という料亭さんも少なくなったので、今のお座敷は以前に比べて敷居が低くなっていると思うんですけど、それでも花柳界のことを知らないと、芸者をお座敷に呼ぶのはちょっと勇気がいるかも知れませんね。
でも浅草の芸者衆は、浅草の伝統行事に参加して踊りを披露させていただいたり、余興に華を添えさせていただいて、地域の方々とお付き合いしていますから、観光に来た皆さんの前に出ることも多いんですよ。
今年は、私たちがいつもお稽古している踊りや邦楽を披露する『浅草おどり』(註2)が7年ぶりに開かれるんです。もちろん、私も舞台に立たせていただくことになっています。ぜひ観にきてください」
観光イメージ役として、また伝統文化の担い手として、浅草花柳界は、浅草と切っても切り離せない存在なのですね。
(註2)
「浅草おどり」
明治以降、関西では京都の「都をどり」など、芸妓衆による大きなイベントが開かれていた。それに対抗する形で、1925年(大正14年)に新橋の芸妓衆による「東をどり」が成功すると、東京の各花街で芸妓衆の芸を披露するイベントが開かれるようになった。「浅草おどり」は、戦後の浅草復興の一環として開かれて以降、浅草公会堂で不定期的に開かれ、2008年、7年ぶりに開催。
浅草芸妓衆が、日々の稽古で鍛えた伎芸を披露し、花街文化としての浅草の「粋」を舞台いっぱいに展開する。また、幇間が出演するのも「浅草おどり」の大きな特徴の一つ。かつては花柳界に欠かせない存在だった幇間も、現在では全国で浅草に所属している4人だけとなってしまった。つまり、幇間の芸が見られるのも、浅草ならではの特徴で、これも大きな楽しみの一つとなっている。 font size>
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本年度最新版『浅草においでよ! 平成21年度版』は、浅草商連加盟店、浅草各駅、浅草文化観光センターなどで配布しています。
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