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『浅草においでよ!』H20年度版より【7】

「浅草においでよ!」平成20年度版より

粋な街 花の街 浅草さんぽ道

明るく、気さくで、親しみやすい
花街を彩る浅草芸者 [その1]

現在、東京には新橋をはじめ6つの花街がありますが、浅草には10軒の料亭と約50人の芸妓衆がいて、浅草花柳界を盛り上げています。
聖子さんは、踊りを仕事にしたいと芸者になった、人気の浅草芸者。私たちにとって、馴染みのあるようで、なかなか詳しく知ることのできない「芸者」について、少しだけ教えていただきました。

この記事は、『浅草においでよ!平成20年度版』に掲載された記事を、一部加筆・修正して転載したものです。

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■日本舞踊という“芸”を仕事にするため
■芸者の道を選んだ

 一口に「芸者」「芸妓衆」といっても、芸妓の仕事は、いくつかの役割に分類することができます。

 まず、見習いとしてお座敷に上がる「半玉」。「お酌」とも呼ばれますが、京都では「舞子」と言いお馴染みとなっています。「半玉」は、「玉代」(芸者を呼ぶための料金。花代ともいう)が半分だった事に由来しています。
 半玉がやがて一人前とみなされると「一本」と呼ばれるようになります。これは、江戸時代の芸者の玉代が「線香1本でいくら」と、線香の燃え尽きる時間で料金が決められていたためで、1本分の玉代をもらって初めて一人前の芸者として認められたということになります。
 そうした「一本」の芸者たちが、踊りを担当する「立方」と、三味線や唄や鳴り物などの演奏を担当する「地方」に分けられます。
 また、今では芸者といえば女芸者を指しますが、芸者が生まれた頃には男芸者が数多く存在していました。そうした男芸者がやがて少なくなっていくと、「幇間」あるいは「太鼓持ち」と呼ばれるようになりました。落語の世界にも、『うなぎの幇間』『愛宕山』など、幇間を主人公にした有名な噺が数多く、幇間はお座敷遊びに欠かせない存在だったことがうかがえます。

 こうした芸者をすべて総称したものが「芸妓」「芸妓衆」という言葉で、「芸者さん」「半玉さん」「お酌さん」、あるいは関西で「芸子さん」と、親しみを込めて呼ばれています。

 昔は、幼いうちに親の借金の形に身売りされて芸者になることが多かったようですが、もちろん、今ではそんなことはありません。代々花柳界に関わっていて芸者になるほか、「和服を着る仕事がしたい」「華やかな芸者さんに憧れて」などの理由で、高校や大学を卒業してから、花柳界に入る人がほとんどです。

 浅草の人気芸者、聖子さんは、日本舞踊が好きだったために、浅草花柳界に入ったそうです。

「私は出身が新潟なんですけど、3歳の頃から、母の影響で踊りを始めたんです。高校を卒業する前から、長年やってきた踊りを活かせる仕事がないかしらって考えるようになったんですね。その時はまだ、花柳界のことも芸者のことも何も知らなかったんですけど、たまたま芸者が踊りを活かせる仕事であるということと、浅草に花柳界があることを知って、詳しく話を聞いてみたいと思ったのがきっかけです。
 それで、見番(註1)に問い合わせてお話を聞いて、芸者になることを決めました。最初は、見番の事務長さんからも、遠くから上京して芸者になるのは相当な覚悟が必要だからってお話いただいたんですけど、それでも絶対に芸者になるって決めて上京してきたんです」


→→[その2]へつづく

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(註1)
「花街のシステム」
戦前の花街は、芸妓が所属する「置屋」、芸妓を呼んでお座敷を提供する「待合」、料理を作って出す「料理屋」の3つの業種で成り立っていた。そのため、「三業地」とも呼ばれた。戦後、待合と料理屋を合わせて「料亭」と呼ぶようになった。その置屋と料亭の仲介役となるのが、「見番」と呼ばれる組合制度。
客の要望に合わせ料亭が見番に芸妓衆を手配する。見番は、各置屋と調整をして料亭に芸妓衆を送りだす。
浅草では、料亭や置屋が所属する「東京浅草組合」が見番となっており、料亭と置屋の手配のほか、浅草の行事や地域とのパイプ役も担っている。
また、芸妓衆の日頃の稽古場としても場所を提供しており、浅草花柳界全体を統轄する役目として、欠かせないシステムだ。

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本年度最新版『浅草においでよ! 平成21年度版』は、浅草商連加盟店、浅草各駅、浅草文化観光センターなどで配布しています。


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