ブロードウェイに棲む神々……〈浅草六芸神〉
今週末から来月初めにかけて、浅草の六区ブロードウェイ辺りでいろいろと撮影する予定になっている。というのも、今年もフリーペーパー『浅草においでよ!』の企画ページの取材が始まるからだ。
今年の企画ページの一つとして、演芸ホールをはじめとした浅草の各劇場・演芸舞台を取材する。
ということで、今回は六区ブロードウェイにいる神様たちの紹介。
その名も「浅草六芸神」。
六区ブロードウェイを歩くとき、少し上を見上げると神様が見えるかもしれない……。

江戸時代中期、浅草寺境内の奥山と呼ばれる場所は、浅草寺の繁栄と共に江戸の娯楽の場として大道芸人たちが芸を披露する場所として栄えました。
明治時代に入ると、浅草寺境内は東京五公演として指定され、明治十六年(1883)には、浅草寺境内の田圃を掘って大池とひょうたん池をつくり公園六区がつくられ、奥山から見世物小屋や芸人が移動してきました。
のちに、新しい興行(映画や演劇)も始まり六区興行街として全国にその名が知られるようになり、現在の六区ブロードウェーとなりました。
興行街としてにぎわう六区には、いつの頃からか六人の芸達者な神様が住みつき、六供周辺で行われるいろいろな見世物に出る様々な芸人達を見守り、芸の知恵を授けてくれるといわれています。六区からは六芸神に見守られた多くの芸人達が映画や演劇、音楽等で活躍しています。このため、六区ブロードウェイでは、六芸神を通りの繁栄の守り神として祀っています。

【唄神】うたいがみ
この神様は、兄の奏神と共に舞台に現われ、唄の舞台を見守ってくれる神様です。歌手の歌声をより一層引き出す術を持った神様です。この神様が舞台に現われ一緒に唄ってくれると、その歌は、必ず流行るといわれています。

【奏神】かなでがみ
この神様は、いろいろな曲を知りつくし、どんな歌にも演奏を合わせられる神様です。弟の唄神と共に楽器演奏の舞台を見守っていますが、この神様が一緒に演奏してくれると、楽器の音色が引き立ち、心に響くものになるそうです。

【話神】はなしがみ
この神様は、古くから話芸にいそしみ、さまざまな話芸の間を心得ている神様です。この神様が舞台にあがり見守ってくれていると、英語や漫才などの舞台が明るく盛り上がり、芸人達の失敗さえも笑いに変えてくれるそうです。

【戯神】おどけがみ
この神様は、古くから道化や曲芸などの大道芸を見守ってきた神様です。演じる物の後ろに立ち、見物人を集めるといいます。この神様は、よく旅に出て各地の大道芸を見て回るそうです。この神様に会えた人は、人を引き付ける魅力をさづけられるといわれています。

【演神】えんじがみ
この神様は、劇や映画などで、主役・脇役を問わずに役を演じる役者達を見守ってきた神様です。特に、若手の役者達が育つのを楽しみにし、いろいろな劇や映画を見ては、役者達に縁起の知恵をさづけてくれるそうです。

【踊神】おどりがみ
この神様は、古くからいろいろな踊りを伝え聞き、踊り子達に伝えつづけてきた神様です。日本舞踊から洋風ダンスまで、さまざまな舞を演じられるそうで、この神様が舞台に現われると、その舞台が成功するといわれています。
※上記の各説明文は、誤字を含めてそれぞれの解説文のママ。

神様と記念撮影できるように、顔抜き看板も用意されている。
こんな神様たちに愛されている浅草の芸人さんたち。
最近は、浅草芸人に憧れて浅草の舞台を目指す若手たちも増えてきているらしい。
そういう若い芸人さんたちから話を聞かせてもらえそうなので、今年も発行後には「取材こぼれ話」を書くつもり。
『浅草においでよ!』ともども、どうか楽しみにしててください。
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