囲炉裏と、作家と、それから女形……〈炭やき櫻田〉
先日、僕の入っている歌舞伎鑑賞会の新年懇親会が浅草であった。1月10日は、「浅草新春歌舞伎」が“着物の日”として来場者に和服の着物を着てくるように促してるのだが、その日に鑑賞会の皆さんも和服を着て集まったという次第。
といっても、僕は別の日に鑑賞予定だったので、この日の観劇はパスし懇親会から、一人野暮ったい普段着で合流した。
今日は、その懇親会の会場「炭やき 櫻田」を紹介。
この日のメニューは団体なのでコースメニューだったが、この店は少人数で行ってもコースがお薦め。
先付け、炭焼き料理、朴葉焼、食事メニューなどで4000円の天神コースなどがお手頃ではないだろうか。
炭やき料理は、十数種類の山の幸や海の幸が、大きなざるにどっさり載せられてきて、そこから好きな食材を選ぶことができる。肉でも魚介類でも野菜でも好きなものを選べるので、男性にも女性にも好まれる店だ。
どの席にも、昔の雰囲気を醸し出す囲炉裏が備え付けられているので、そこの炭火で好きなように焼いて食べる。
自分で焼かないといけないは焼き肉料理と同じで、焼いているうちにおしゃべりなどに夢中になると、ウッカリすると丸焦げなんてことになってしまうので、今回のように懇親会の席には向かなかったかもしれないが、まぁ、そんなことも炭火焼の楽しみの一つ。むしろ僕なんかは、自分のペースで炭火で焼いて食べる方がうれしい。
焼酎も十数種類、冷酒も数種類おいてので、酒が好きな人は、コースにせずじっくりと囲炉裏で炭焼き料理を楽しむのがいいと思う。単品メニューは豊富とはいえないが、もちろん単品で紙鍋料理や朴葉焼を頼むことができる。以前、牛肉の朴葉焼をいただいたがとても香りが良かった。
この数年、わりとテレビや雑誌で紹介されているのを見かけるので、浅草の中でも有名店と言ってもいいんじゃないだろうか。
この櫻田のビルは、文学作品の中で浅草のことを数多く描いた作家・久保田万太郎の生誕地に建っている。店のすぐわきには記念碑が建てられており、「久保田万太郎生誕地」として紹介されることも多い。
また、奇数月の第3土曜日に「櫻田落語会」という落語会を開催している。以前は春風亭小朝や当代の金原亭馬生なども高座に上がったらしいので、いい噺家との出会いもあるかもしれない。僕もまだこの落語会に伺ったことはないのだが、そのうち行ってみようと思っている。
さて、新春浅草歌舞伎について感想を少しだけ……と思ったが、長くなるのでコメント欄に感想を書いたので、興味のある方はこの記事のコメント欄を読んでください。
今回の懇親会はちょっとしたおまけがついてきた。
新春浅草歌舞伎の舞台にあがっている尾上松也丈が、懇親会の席に登場してくれた。
姿や様子がたいしてよくもない男子を、「イケメン」とする昨今の風潮には辟易しているが、素顔の松也丈は様子の良い男ぶりで、まさにイケメン。
七之助は精進が見えないし、片岡愛之助は最近女形をやらないし、贔屓を松也丈に乗り換えようかと思っている今日この頃だ……。
【名 称】囲炉裏料理 炭やき櫻田
【住 所】東京都台東区雷門1-15-12永谷マンション1F
【電 話】(03)3845-3995
【URL】→公式サイト←
【定休日】無休
【営業時間】平日17:00~23:00
土日祝16:00~22:00
【食べログ】櫻田 (さくらだ)★★★★☆ 3.5
↓食べログでは、ココで掲載した以外の店も紹介しています。
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コメント
今年の「浅草新春歌舞伎」について、ちょっとだけ感想を。
今回、最も期待していたのは中村七之助の「京鹿子娘道成寺」。当代の若い女形の中では、七之助の美しさは間違いなく頭一つ抜けている。昨年、「浅草の風」でも、新春浅草歌舞伎のことを簡単に紹介したが、その時にも「七之助の道成寺は注目」と書いた。
ところが、残念ながら七之助は全くの期待はずれ。「浅草の風」を読まれた方には、お薦めして恥ずかしい気分だ。
この数年、ちょっと感じていたことではあるが、最近の七之助は精進が足らない。
先日も少し書いたように、このところ、兄の中村勘太郎が急成長してすごくいい役者になりつつある。もういい大人なんだから兄弟だからと単純に比べても意味がないだろうが、兄の急成長に比べて格段に差がついてしまった感は否めない。
昨年、父親である中村勘三郎、勘太郎、七之助の「三人連獅子」を見た時も、明らかに七之助だけが一段劣っており、クライマックスである最後の「毛振り」でも、一人だけ毛の動きが悪かった。
数年前、勘三郎襲名興行の直前に酔っぱらって小さなスキャンダルを起こした時は、「まぁ確かに時期は悪かったし、暴力はいけないけども、若いときに酔っぱらって無茶をするなんていうのは、どうってことないのに騒がれてかわいそうに」と同情した。その直後に公開された映画『真夜中の弥次さん喜多さん』もなかなかの好演でだったし、前後して出演している映画もいい。そういう七之助だからこそ、スキャンダルの後、人一倍精進してほしいと思う。
好きな役者だけに、とても残念でならない。
投稿: 真公 | 2009年1月22日 (木) 14時02分
尾上松也さんは今、ラジオのNHK-FMで「邦楽ジョッキー」のDJを務めておられますよ。曜日は忘れましたが午前11時頃からの放送です。
何年か前、南座で菊五郎・菊之助親子が「児雷也」を演じたことがあって、そのとき松也さんが強く印象に残りました。それ以来、注目しています。
七之助を見る機会は少ないので、成長しているかどうかはよくわからないのですが…あの人って顔が細すぎるのが私には気になるんです。もう少しふっくらしたほうが、女形としてきれいになると思うのです。
2月に松竹座で花形歌舞伎があるので、久々に勘太郎・七之助兄弟を見ることができそうです。
投稿: 1go1ex | 2009年1月23日 (金) 14時07分
> 1go1exさん
こんにちは。
松也さんのラジオは、ご本人から宣伝されました(笑)。でも、僕の仕事場、ラジオがほとんど入らないんですよ。ビルに囲まれたオンボロ長屋なんで。
七之助は、たしかに丸みというか女性の柔らかさみたいなものが足りないかも知れませんね。まぁ僕はその辺は気にならないんですが、どっちにしても、今のままじゃ「かわいい女形」のままですね。代わりに、勘太郎は、最近見る度に伸び盛りを感じます。「一本刀土俵入」の茂兵衛もなかなか新鮮で、勘三郎とはひと味違って生真面目さというか何と言うか、芝居を見てると好感が持てるんです。
投稿: 真公 | 2009年1月24日 (土) 14時34分