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ようやく新年が明けて……

昨年末は、風邪を引かないようにとかなり用心していたが、大晦日にとうとう風邪を引いてしまい、鼻水、熱、喉の痛みに加えて、喘息の発作もおさまらず、大晦日から先週の月曜日まで、ほとんど寝正月。
そんなこんなで、ようやく火曜日から起き出して、本来は年末年始の休みのうちに片付けておこうと思っていた仕事や1週間分のメールの整理などで、木曜日まで、ほとんどパソコンの前から動けず。
で、ようやく金曜日に動き出せそうになって、お客さんのところに新年の挨拶に行ったり、浅草あたりの写真でも撮って来ようかと思っていた矢先に、知人の身内に不幸があって、新年の一番最初に近所以外に出掛けたのがお葬式。

ということで、新年の挨拶をするどころじゃなく、波乱を予感させる2009年がスタートした。

*  *  *  *  *  *  *

お葬式に行く度に実感するのが、字が下手なこと。

編集者の仕事というのは、いろいろと文字を書く機会が多い。
最近こそ、電子メールで用件を伝えたり、PDFやデジタルデータを使って仕事の指示をしたりすることも増えたが、それでもまだまだ文字を書いて仕事の指示をするのが基本だ。
編集には、「朱入れ」「校正」「赤字整理」なんて作業があって、赤ペンで必要な指示をしたり、修正をお願いしたりする。編集者にとっては、これらの作業がもっとも重要な作業の一つで、文字を書いて仕事の内容をちゃんと伝えないといけない。しかも、このブログで書いているように、だらだらと長文を書くスペースはない。簡潔に、正確に、相手に意思を伝えないといけない。

でも僕は、とにかく字が下手だ。社会人になりたての頃はかなり悩んで、ペン習字などを学ぼうと思っていた矢先に、僕の編集の師匠が、
「字が下手のは仕方ない。でも、雑に書いちゃ駄目だ。字が下手でも、丁寧に書けば相手に伝わる。編集者は、字がうまくても相手に読めないように書いたら価値がない。それから、こそこそした気持ちで書くと、字が小さくなって、相手に見落とされてしまう。だから、下手でもいいから、堂々と、そして丁寧に書け」
と教えてくれた。
それからは、コンプレックスはあったけども、それでも「堂々と、丁寧に」をモットーに字が下手なまま仕事をしてきた。お陰で仕事相手からは、「確かに下手だけど、赤字が分かり易い」と言ってもらうようにもなった。

ところが、葬式に出席して名前を記帳するときは、「堂々と、丁寧に」ではどうにもならない。
しかも、普段から使い慣れない筆で書かなくっちゃいけなかったりする。
不祝儀袋の記名も、名簿への記帳も、みっともないことこの上ない。

落語では、長屋の住民が自分の教養のなさを恥じて、下手をすると引っ越しまでしようっていう噺がたくさんあるが、まさに同じ心境で、逃げ出したくなる気持ちになる。
葬式は悲しい行事だけども、僕にとっての葬式は、字を書く事が何よりつらい。

何とかならないものだろうか……。

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さて、こんな愚痴ぽい気持ちで葬儀へ参列後、験を直しに寄席でも行こうかと、喪服から着替えて、その前にお客さんのところへ挨拶回り。
5時くらいまでに上野・鈴本演芸場の初席に行けば、先日取材させていただいた柳家小里ん師匠にも間に合って、トリは柳家小三治。久しぶりに4時間みっちりコースで楽しもうなんて考えていたら、最後に寄ったお客さんのところで「軽く一杯」なんて誘われ飲みにいく事に。
なんとか早めに切り上げて、急いで上野に戻ってきたが、小里ん師匠どころか、最後の中入りにギリギリ間に合った。

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獅子舞のお神楽、江戸家猫八の動物鳴き真似、林家正楽の紙切りと、正月らしい舞台が続き、事前に酒を飲んでいたこともあり、こちらもようやく正月気分だ。少しお目当てにしていた柳亭市馬は休演で残念だったが、まぁ仕方ない。代わりの三三と、権太楼は相変わらずと言ったところ。

そしていよいよ、トリの小三治。
以前も書いたが、現役の中では圧倒的に好きな噺家だ。すでに全盛期は過ぎたが、これからはいい感じに枯れていく姿を見ていきたい。
“小三治節”ともいえるマクラを、いつものように気分よく聴きながら「個人的に少し遅れた一年の始めを小三治で迎えるというのは、いい年の始まりだなぁ」なんて気分に浸っていた。

すると、なんと始まった演目が「小言念仏」。
「南無阿弥陀仏」とひたすら念仏を唱えながら進む話で、昼間さんざんお題目を聞いたことを思い出し、一人で苦笑い。

やっぱり、今年は波乱の年になりそうだ。

ということで、今年もよろしくお願いします。

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