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2006年7月

江戸っ子の会話を聞きながら鰻を楽しむ……〈色川〉

江戸っ子は口が悪い。言葉遣いが乱暴だ。しかし、品がないわけじゃないし、口汚いわけでもない。
僕自身、子どもの時分からよく誤解されてきたが、言葉遣いが乱暴でも、よくよくその内容を聞いていれば、愛嬌があり、艶のある言葉だって事が分かってもらえるだろう(僕の話にはたいして艶なんてありませんが……)。

浅草で鰻が食べたいときは、口の悪い江戸っ子のオヤジさん(大将)に会いに「色川」に行きたい。

*  *  *  *  *  *  *

先日、できあがった「浅草散歩ガイド」を届けに行ってきたが、そこでの会話がまるで落語に出てくる下町の風景だ。

僕 「大将、遅くなりました。ようやっと出来上がりました」
大将「おぅ、そういえば取材だか何だかって言ってたな。
  ありゃ何時のことだ?」
僕 「去年の秋口でした。
  すんません、本当に遅くなっちゃって」
大将「ったく、稲荷町の奴(僕の住んでいる街)は愚図だな。
  で、その間、おめぇは何してたんだ」
僕 「いやぁ〜、本が出来上がらないと顔出しづらくて、
  ご無沙汰してました」
大将「ってことは、ひぃふぅみぃ……、
  8か月も顔だしてねーのか?
  馬鹿野郎、おめぇ、普通、最低でも季節毎に顔だして、
  『まだ出来てません』って報告くらいするだろうよ。
  ったくよ〜、歩って来たって10分(じっぷん)か
  そこらじゃねぇか」
僕 「すんません。スクーターで2〜3分なんですけど」
大将「だったら来いってんだ。
  っていうかよ、何がスクーターだ。
  近くなんだから歩って来やがれ。
  まぁいいや、ちょっと説教してやるからそこ座れ」
僕 「いや大将、また近いうちにちゃんと来ますんで、
  今日のところは……」
大将「ちっ!(舌打ち) いいから座れってんだ」
僕 「はい!」
  (と、座ろうとしたとき、椅子を倒しそうになって)
大将「しょうがねぇなぁ、稲荷町は。
  愚図なんだか慌てん坊なんだか分かりゃしねぇよ」

ってな具合に、カウンターの席に座らされ、江戸っ子言葉でお叱りを受けた次第。
もちろん、大将と僕の会話は、説教をされているからといって険悪だったり重たい空気に包まれていたわけじゃない。文字にすると伝わりづらいかも知れないが、こうした会話も実際に目の前で見れば、落語の世界に出てくる愛嬌のある会話だ。
満員のお客さんたちは、目の前で繰り広げられるリアルな落語ワールドを見て大喜びの様子。カウンターの隣りに座っていた常連さんに「いや〜、お兄さんもたいへんだね。でも面白かったから一杯飲め」なんてご同情いただく始末。
要するに、こうして僕を説教するようにみせて、お客さんに会話を楽しんでもらってるわけだ。粋な江戸っ子はエンターテイナーでもある。
そして一通り説教が終わると、「8か月も喰ってねーと、うちの鰻の味忘れちまうだろ。喰ってけ」と鰻重と肝吸いが僕の目の前に。もちろん、こちらがお代を払うと言っても受け取ってもらえない。この辺りに粋を感じるんだよなぁ〜。

まぁとにかく、ここの大将に会えば、本物の江戸っ子に遭遇することが出きることは間違いない。食事というのは、料理だけじゃなく店の雰囲気が大事だと思わせてくれる。この数年では、鰻店でもっとも多く通っている店。

おっと、せっかくの鰻のこと書くのをすっかり忘れてしまうとこだった。
……と思ったけど、色川の鰻のことなんて、雑誌でもインターネットでも、そこら中で見られると思うので、詳しくはそちらに任せることにしよう。簡単にいうと、タレの味は濃いめの辛口で、炭火で焼いた鰻は香ばしくて口当たりががいい。濃い味好きの僕にとってはもちろん好みの味で、浅草の鰻はこうでなくっちゃと思わせる。

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そうそう、この店にカップルで行くとき、男の人に注意を一言。
間違っても「並2つ」なんて頼むと、大将から「何ぃ? お兄さん、女連れて飯喰いに来て最低の物なんて喰わしたんじゃ男じゃねーだろ。分かるか? だったらもう一回注文してみな」と、半ば強制的に「上」を注文させるかも(笑)。
まぁ、有名な鰻にしては安いので心配することもないかも知れないが、男性は一応、しっかりと財布にお金を入れて食べに行くようにご注意を。

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【店名】色川 (いろかわ)
【住所】東京都台東区雷門2-6-11
【電話】03-3844-1187


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『浅草散歩ガイド』がいよいよ発売

昨年の5月に企画した本が、ようやく発行された。
浅草を紹介するガイドブックだ。

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「浅草散歩ガイド」

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一冊丸ごと、浅草の全般を紹介している。
アマゾンなどに流す出版社からの紹介文では「初心者から“通”まで」と書いているが、実際には「浅草観光の入門書」として編集した。

[主な目次]
 ○巻頭インタビュー
  なぎら健壱流・浅草の楽しみ方
  「自分だけのガイドブック」をつくるコツ

 ○浅草ガイド
  浅草今昔物語
  サイトでチェック ほか

 ○浅草ランドマーク
  浅草寺/雷門/吾妻橋/花やしき ほか

 ○あさくさ道案内
  アニマル浜口一家の巻/芸妓・聖子さんの巻

 ○お座敷遊び入門
  芸者遊びを学ぶ「お座敷入門講座」の体験レポート

 ○歩く浅草
 ○食べる浅草
 ○憩う浅草
 ○買う浅草
 ○泊る浅草
 ○足を伸ばして下町散策
            ほか

僕は、全体の編集と、一部の執筆を担当している。
今回は、取材先が全部で200件を超すため、10人以上のライターさんが執筆されている。それぞれの店は、各ライターさんがお薦めしたいと選んだ店だ。
僕が執筆をしているお店や記事も多い。とくにコラムなどはほとんど僕の執筆だ。

この書籍のポスターは、キャッチコピーからデザインまで、印刷以外はすべて僕が作ったのだが、

浅草をちょっとだけ、切り取ってみました。

というコピーにした。

浅草のあらゆるところを、本当に“ちょっとだけ”ではあるが、広く浅く紹介している。
このブログでも、これから少しずつ浅草の事を紹介していきたいと思う。

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昨年から企画し昨年の秋に発行する予定だったが、出版社の都合で延期となり、その後、僕のスケジュールと合わなかったりして、遅れに遅れてようやく発行されることになった。
取材に協力いただいたお店や企業・団体、またはこれに関わった多くのスタッフの皆さんには、大変迷惑をかけてしまった。

ともかく、ようやく発行されたので、もし書店で見かけた方はぜひお買い求めください。

【書名】浅草散歩ガイド
【編者】渡部真
【発行】生活情報センター
【定価】1260円(本体1200円+税)
【規格】A5判/並製本/176頁
【ISBN】ISBN4-86126-275-5


【2007年3月1日追記】
せっかく発行した本だったが、約一月ほど前、発行元の(株)生活情報センターが倒産したため、残念ながらこの書籍は絶版となってしまった。今後、版権も含めてどのようになるか未定で、しばらくは初戦にも並びつづけるはずだが、半年ほど経てば一般の書店からは姿を消すことになるだろう。
この本は、出版までの経緯や、今回の倒産・絶版で一部の未払いが発生した事も含め、一部に大きく不満の残るものだった。
いずれまた改めて、納得のいく形で、浅草に関する本を出版したいと思っている。

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