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2006年5月

子どもたちからの復讐


毎日のように、子どもの凶悪犯罪についてのニュースが流れている。

そして、こうしたニュースとともにテレビでは“識者”によって「少年法の厳罰化」が唱えられる。

子どもたちを甘やかせというつもりは毛頭ないが、厳しくしたところで、本質的には解決しない。
なぜなら、子どもたちに「人を殺したら、これまでは5年くらい少年院に行けば済んだけど、これからは20年くらい行かなくちゃいけないかもしれないよ」と言ったところで、人を殺してしまう程のテンションを抑える程の想像力が刺激されるはずがないからだ。

なにしろ、「人を殺してはいけない」「いけないらしい」「何らかの罰はあるのは知ってる」程度の認識はあるのに、それでも人の命を奪おうとしている人間が、厳罰化された刑法を冷静に受け止めて、自分の未来をイメージできるはずがない。そういう想像力の欠如が、犯罪を生み出す大きな一因なのに、イメージをしろと言っても無意味だ。

少年期・思春期に、3年後の自分の未来を明確にイメージできた人が、一体どれくらいいるだろうか? 5年後は? 10年後は? 自分の未来を明確にイメージして、それに沿うような行動をしてこられたと胸を張れる大人なんて、僕の周りには一人もいそうにない。

僕の子どもは、中学3年生と小学6年生なため、ちょうど将来について度々話し合っているのだが、自分の将来に対するイメージが漠然として悩んでいる様子だ。多くの子どもたちが同じように将来に対して不安を抱えている。

そんな子どもたちに、自分の将来を冷静に考えさせ、犯罪と刑罰の重さを冷静に受け止めさせて、犯罪を犯すことを諫める、なんてナンセンスとしか言いようがない。

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僕は、少年法の厳罰化を全否定するつもりはない。
ただし、少年法を厳罰化する前に、刑法全般の厳罰化を論じるべきだと考えている。

そもそも、日本の刑罰は軽すぎるし、問題が多い。
といっても僕は死刑制度廃止論者なので、もっと死刑を増やせというのではない。死刑以外の刑罰を厳罰化することとともに、更正目的施設の充実化、社会復帰機会の拡大化など、ここでは書ききれないので改めて書きたいと思うが、とりあえず、刑法の罰則規定は見直す必要があると考えるし、それに伴って、少年法の改正、更正機関の充実が必要だと考える。

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しかしその前に、社会そのものが子どもの命を守り切れていないことに、大人たちが自覚しなくてはいけないだろう。
子どもたちに奪われる大人の命の数以上に、大人たちによって奪われている子どもたちの命の数の方が比較にならないほど多いことを、大人や社会は認識しているのだろうか?

僕には、未成熟で、自信がなく、無責任な大人たちが、子どもたちに対して漠然と不安を抱え、恐怖感を感じ、「少年法の厳罰化」を唱えているとしか思えない。

僕を含めた大人たちは、今の日本が「子どもの命を軽んじている社会」と考えることから始めるべきだ。マスコミのアンケートなどで「体罰OK」なんて答える親が多くいると聞くが、まさに子どもの命を軽んじている現れだ。

子どもたちが起こす重大な犯罪は、こうした大人社会に対する、子どもたちから復讐に他ならない。

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稲荷町だけにいなり寿司……〈きつ音 忠信〉


以前、「義経千本桜」の“四ノ切”を紹介したたが、その話から店名を命名したといういなり寿司専門店、その名も「きつ音 忠信」。

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台東区は下町らしく和菓子屋がそこら中にあるので、いなり寿司もそこら中で売っていることになるが、さすがに「いなり寿司専門店」はそれほど多くない。以前は多くあったようだが、今では数えるほどになってしまった。

店内にはいると、小さなカウンター席と、2人掛けのテーブル席が2卓。小さな寿司屋という佇まいだが、いなり寿司、かんぴょう巻、しそ巻の3つしか取り扱っていないことが、壁に貼られたメニュー表からうかがえる。
オヤジさんとおかみさんの二人が対応してくれる。一見すると取っつきにくそうだが、余計なおしゃべりはしないという職人タイプというだけで、応対は申し分ない。いなり寿司ものり巻きも、注文してから拵えてくれる。「こしらえる」なんて、今どき『渡る世間は鬼ばかり』の中でしか使わない言葉だと思っていたが、このお店ではまさに「拵える」という言葉がぴったりだ。
店内で食べることもできるが、僕の場合はいつも持ち帰る。店内で食べている人は見たことないが、たまた僕が行くときにお客さんがいないだけで、ちゃんと店内で食べる人もいるようだ。

裏返している皮は濃いめの味だが、しつこいということはない。中身にご飯のほか、酢漬けしたハスと黒ゴマが入っていて、酢味のハスが絶妙だ。煮汁がしっかりと切ってあるのも、後味の良さに役立っている。

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いなり寿司=きつね=千本桜というだけで、べつに由来があるわけではない。
しかし、歌舞伎好きなら、「直侍※」の舞台となる入谷の雰囲気を味わいながら、散歩がてらに立ち寄ってみて、江戸庶民の味を楽しむのも乙ってもんだ。


【名 称】きつ音 忠信
【住 所】東京都台東区東上野4-23-6
【TEL】03-3843-9985
【営業時間】平日9:00〜20:00/
      日・祝9:00〜18:00/定休=月曜
【お薦め】いなり寿司4個とのり巻1本(660円)〜
     ※折り詰めは50円増し
【アクセス】稲荷町交差点から、清洲橋通りを入谷方面へ。
      300mほど歩いて歩道橋を過ぎてから2つ目の
      信号を左折。すぐ先の交差点をさらに左折。す
      ぐ右手。
【MAP】「長屋界隈」の地図は→こちらをクリック←
     地図上の「13」番がこのお店
【食べログ】きつ音 忠信
★★★☆☆ 3.0

【追記】
通称「直侍」の別外題は「雪暮夜入谷畦道」(ゆきのゆうべいりやのあぜみち)という。さらに、「河内山」と呼ばれる前半部と、後半の「直侍」を合わせて「天衣紛上野初花」(くもにまごううえののはつはな)という狂言となっている。台詞廻しが軽快な河竹黙阿弥の作品。
「入谷」「上野」と書かれているとおり、この長屋からすぐ近くが舞台。ちなみに僕の住む長屋は、江戸時代風に言うならば「下谷界隈」だ。「直侍」に登場する「丑松」のねぐらがまさに下谷。
で、実際に「直侍」が入谷で立ち寄るのは、いなり寿司じゃなくてそば屋である。


↓食べログでは、ココで掲載した以外の店も紹介しています。
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何気ない言葉に身が締まる……〈成就院〉


稲荷町は、たくさんの寺院が点在している、いわゆる寺町だ。

そうした寺院が、この界隈の土地を所有していることも多く、この4軒長屋の土地の所有者もお寺さんで、それぞれが土地をお寺さんから借りて建物だけを自分で建てている形になっている。

そんな寺町のなか、「成就院」の門前の掲示板にある“言葉”には、ハッとさせられることが多い。

Cb051008

成就院は、稲荷町の駅からこの長屋まで歩いてくる途中にあり、駅からとぼとぼと歩いて帰ってくると、自然とこの掲示板が目に入ってくる。

週に一度か二週に一度のペースで言葉が変わるのだが、何気なく自分自身に問いかけてくれる言葉が多いので、まったく宗教心のない僕にも素直に受け取ることができるのだろう。

残念ながら写真には入っていないのだが、「あなたのことは、あなた自身が一番わかっている」と書かれていたときには、通る度にいろんなことを考えさせられた。

毎日のように通る谷中の寺でも同じような掲示板がある。
寺院の門前にはよくある光景だと思うが、生活の中で何気なく入ってくる言葉だからこそ、自分の襟を正された気分にさせられる。

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稲荷町で寺院と言えば、下谷神社はもとより、加納治五郎が最初に道場を設けたとういう「永昌寺」があり、講道館・柔道の発祥の地とされている。
今回紹介した成就院は、『鬼平犯科帳』に登場するらしく、鬼平ファン・池波正太郎ファンが訪れることもあるそうだ。

こうした古くからあるお寺さんのおかげで、この長屋の家賃も都心にしては驚くほど安い。
ありがたいこってす。


【名 称】成就院(真言宗・智山派)
【住 所】東京都台東区東上野3-32-15
【アクセス】稲荷町交差点から清洲橋通りを新御徒町方
      面へ。すぐ右手。
【MAP】「長屋界隈」の地図は→こちらをクリック←
     地図上の「7」番がこのお店

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