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スーパー・スターになれない男(WBCを観て2)

日本の優勝という結果をもたらしたWBCには、これから解決しなければいけない問題があるということはすでに書いた。

こうした問題を曖昧なままスタートした今回のWBCに、疑問符を投げかける選手や、一流選手であるにもかかわらず日本代表になることを辞退した選手が何人も出たのは当然のことだ。
僕は、今回のWBCに出場しなかった選手について、それはそれでプロとして立派な選択だったと思っている。

が、しかし、である。
今回のWBCに参加しなかったことについて「あいつはやっぱりダメだな〜」と思ってしまう選手がいる。ヤンキースに所属している松井秀喜だ。

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松井秀樹という選手は、今さら僕が説明する必要ないほど誰もが知っている選手だ。
イチロー、清原、新庄、松坂のように、野球を一度も観たことがない人でも、名前と顔が一致するだろう。
甲子園で「5打席連続敬遠」という珍エピソードをひっさげて巨人に入り、原以来定着しなかった「巨人の4番」になり、メジャー・リーグのヤンキースに移籍してからもそれなりに活躍している、一流スポーツ選手であり、日本のスターである。

僕は、そんな彼を高校球児として甲子園で活躍し始めた頃から見続け、彼の野球選手としてのセンスは認めながらも、今ひとつ好きになれないでいる。
日本にいた頃、球場に行ってスイングの速さを見れば素直に感心しながら、あの不格好なバッターボックスでの構えを見て萎えてた。ヤンキースに移ってからも、それなりに活躍する姿を見せながら、何を求めてメジャー・リーグでプレーしているのかハッキリしない中堅選手として姿を見せる松井に、少しも期待をかけられないでいる。
巨人の主力だった選手だったにもかかわらず、これほど愛情をかけることができないのは、三十数年の巨人ファン歴の中で駒田くらいなものだ。

どうして僕が松井のことが今ひとつ好きになれないか、それが、今回のWBC日本代表辞退に見える。

WBCが日本でここまで盛り上がるとは、始まる前は誰も予想できなかったはずだ。かつて日本代表がロス五輪で金メダルを取ったときでさえ、ここまで盛り上がらなかったし、そもそも日本が優勝することを本気で考えていた人なんて少数派だった。それが、誤審問題や韓国・米国との熱戦によって徐々にナショナリズムが煽られ、さらに王監督の存在感やイチローの活躍ぶりなど、複合的な要素によって予想を大きく上回る盛り上がりを見せた。
だから、この盛り上がりを予測できなかったからといって、松井が出場辞退を責めるのは酷かもしれない。

しかし、松井が本当に時代を代表するような“スーパー・スター”ならば、こうした盛り上がりは自然と彼を中心に起こっていたはずだ。逆に言えば、それが“スーパー・スター”の条件だと言ってもいい。

同じく僕が今ひとつ好きになれないイチローは、今回WBCに出場した事で、自らの力によって“スーパー・スター”として何十年も語られるであろう野球選手となった。

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顔が悪くて構えが格好悪くても、
スイングスピードは超一流

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甲子園のヒーローになれるはずだったのに「ラッキーゾーンの撤廃」や「全打席敬遠」のためヒーローになれなかった高校時代。
「巨人の4番」として立派な成績を残したのに、おいしいところを清原に持っていかれたり、三冠王になれるチャンスを目の前にして取り逃がしたり、巨人史上最弱世代の中心選手となってしまった巨人時代。
ヤンキース黄金時代と言えるほどのタレントを集めながら、いつまでもプレーオフでチームとして結果が出ず、松井が入団してから一度もワールドシリーズ・チャンピオンになれないでいるヤンキースでの今。
そして、今回のWBCに出場しなかったこと。

彼には“スーパー・スター”として絶対に必要な条件が、ホンの少しだけ欠けている。

彼が“スーパー・スター”になる日は来るのだろうか……


(「WBCを観て3」につづく)

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