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キュートな女たちに感謝
(映画「イン・ハー・シューズ」)

とくに観たいと思っていたわけではなかったが、友人に誘われて「イン・ハー・シューズ」を観ることになった。
なにせタイトルもよく確認せずに観たので、事前情報としては「キャメロン・ディアスが主演で、シャーリー・マクレーンが出てるらしい」という程度だった。

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妹マギー(キャメロン・ディアス)と姉ローズ(トニ・コレット)は、靴のサイズが24.5cmということと、マギーにとっては楽しくローズにとっては辛いある日の思い出、そしてもって生まれたDNA以外、まったく共通点がない姉妹だ。
美人で男あさりは得意だが、難読症のために字が読めないことがコンプレックスで、堅実に生きようとしないで周囲に迷惑をかけてばかりマギー。弁護士でありキャリア・ウーマンとしては成功したが、子どもの頃に太っていたことがいつまでもコンプレックスで、外見に自信が持てず堅物で恋はいつも上手くいかないローズ。
そんな二人は、男をめぐるとトラブルがキッカケで喧嘩をしてしまい、お互いに傷つけあってしまう。
マギーは、母の死後に音信不通となっていた祖母エラ(シャーリー・マクレーン)の住むフロリダへ。独りぼっちになったローズは、サイモン(マーク・フォイアスタイン)との新しい恋へ。二人は、それぞれの方法で、自分自身を見つめ直し、やがて立ち直って新たなる人生を歩もうとする。しかし、幸せになれそうなのに、今ひとつスッキリしない。それは、マギーとローズが、姉妹である以上にお互いにとって必要な存在だと気が付いたからだ……


タイトルに「イン・マイ・シューズ」とあるように、美しい靴がたくさん登場する。
自分にぴったりと合う靴はなかなか見つけられない。良いと思って買っても、履いてみると靴擦れを起こしてしまったり、どこかを痛めてしまったり……。何度もすりむいて、ようやっと自分にぴったりの靴を探すことが出きる。

物語の前半、ゴージャスなマギーは、姉の持つゴージャスな靴を身につけて街をぶらつき遊びほうけるが、ハイヒールよりもスニーカーの似合うフロリダに行くことで、自分を見つめ直す。一方ローズは、美しいハイヒールをたくさん持っているのに、コンプレックスからそれを履いて外出することが出来ないが、サイモンと付き合うことでハイヒールを履きこなす自信を持った女へと変わっていく。
彼女たちだけでなく、祖母のエラや他の登場人物たちも、自分の心の中に何かしらの「擦り傷」を抱えながら、物語の進行とともに自分を見つめ直していく。
姉妹・家族愛をテーマにしたのドラマではなく、自分探し系の人間ドラマだ。

ちなみに「イン・ハー・シューズ」という言葉、「彼女の靴で」と直接的に使われることもあるが、英語では「彼女の立場なら」「以心伝心」という慣用句として使われることもあるようだ。


前述した通りたくさんの美しい靴が登場するが、なかなかソソられる靴(足)の撮り方だ。監督がこだわったという「鏡を使った演出」もなかなか効果的。「L.A.コンフィデンシャル」でも感じたが、光の扱い方(もしくは光量の加減)が上手い。

何よりもこの映画、登場する女優陣が、みんなキュートである。
ハリウッド・コメディアンヌとして定着したキャメロン・ディアス、内心に大きなストレスを抱えながら優等生に振る舞う姉ローズの苛立ちを見事に演じたトニ・コレット、相変わらずツンとした気品さを感じさせながら優しい祖母として二人に接し、娘を亡くした母の苦しさを表現したシャーリー・マクレーン。彼女たちの演技が、このコメディを「上質な小品」として秀作に昇華させている。
このキュートな登場人物たちが、観る側を幸せな気分にさせてくれるだろう。

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何しろ、タイトルすらはっきり知らずに観た作品。期待なんてまったくしないで観たおかげで、大きく裏切られて、とても幸せな気分にさせてくれた。時折こういう幸福感が味わえるから、やはり映画観賞はやめられない。
「期待しない」ということが大事なキーワードなので、これから観る人は、くれぐれも期待しないように!

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【作品名】イン・ハー・シューズ
    (In Her Shoes/'05/アメリカ/130分)
【監督・製作】カーティス・ハンソン
    (「L.A.コンフィデンシャル」'97)
【製作】リドリー・スコット
 (「ブレードランナー」'82/「テルマ&ルイーズ」'91)
【脚本】スザンナ・グラント
   (「エリン・ブロコビッチ」'00)
【出演】キャメロン・ディアス
   (「クリスティーナの好きなこと」'02)
    トニ・コレット
   (「アバウト・ア・ボーイ」'02)
    シャーリー・マクレーン
   (「アパートの鍵貸します」'60)
    ※人名後ろのカッコ内は、その人の関連作品のなかで僕のお薦め作品。
【公式サイト】http://www.foxjapan.com/movies/inhershoes/
【僕的評価】★★★★★★★☆☆☆/10点満点

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コメント

【以前のコメント】
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めざしてます>エラ (あかん隊)

2005-12-06 21:59:16

初めまして。TBありがとうございます。
この映画、とても好きです。監督と脚本の名コンビは、健在でしたね! この映画の予習として、ビデオで『L.A.コンフィデンシャル』をみたのでしたが、感激してまして…。よいお話でした。エラのような「ばあさん」を目標に決めました(爆)。
何やら、似たような仕事をなさっているようで(汗)。Photoshop でシャドウ加工されました?(笑)よろしくお願いします。

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Unknown (CRAFT BOX)

2005-12-06 22:39:55

>あかん隊さん
お越しいただきありがとうございます。

あかん隊さんのブログで書かれていた
「わたし、冷たかった?」
「スターリンよりは、ましだった」
これ、僕もツボでした。
そして、シャーリー・マクラーレンのエラおばあさん、良かったですね!

映画の見方が、どことなく“同業者っぽい”と感じました。
ぜひまたお越しください。

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TBありがとうございました (KAO)

2005-12-07 00:07:36

ワタシはこの映画はかなり期待して(笑)観に行ったのですが、確かに期待せずに観に行った作品がイイとすごい得した気分になりますよね〜。

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Unknown (CRAFT BOX)

2005-12-07 07:14:40

>KAOさん
ようこそお越しくださいました。
僕もロンバケ好きですよ。
だからTBさせてもらった次第です。
ぜひまたお越しください。

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こんにちは。 (こっちゃん)

2005-12-07 14:49:17

普段好んで履く靴は二足だけのこっちゃんです。

>マギーとローズが、姉妹である以上にお互いにとって必要な存在だと気が付いたからだ……

確かにそうですね。

こっちゃんも期待そこそこで行きましたが満足できた映画です。
ハイヒールを履けるようになれば、彼女らの気持ちにもっと近づけるかもしれませんね。

あ、こっちゃんは男の子です(^o^;

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Unknown (CRAFT BOX)

2005-12-07 21:34:37

>こっちゃんさん
美しい靴とそれを履いている脚を見るのは好きですが、
自分で履くならスニーカーな僕です(笑)。
でも、ぜひまたお越しください。

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い (km_achin)

2005-12-07 23:54:01

私もこんなに笑えて、泣ける映画だとは思わなかったので、得した気分です。
いろいろな人に勧めたいですね。

TBありがとうございました。

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Unknown (CRAFT BOX)

2005-12-08 01:36:18

>km_achinさん
寿司屋のシーンのこと書かれていたので、TBさせてもらいました。
でも、お寿司のチョイスは今一!(笑)
「まぁず、なにやってんだか」って、北海道の方でしょうか?
すごく気になります。
ぜひまたお越しください。

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TBさせて頂きました☆ (non)

2005-12-21 11:07:28

はじめまして。
in her shoes の意味、知りませんでした!!
映画の内容と重なって、深いタイトルですね。
唸ってしまいます。
勉強になりました。

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Unknown (CRAFT BOX)

2006-01-01 02:46:26

>nonさん

すっかり遅くなってしまったのですが、TBさせていただきました。
これに懲りず、またお越しください。

投稿: 【以前のコメント】 | 2008年7月11日 (金) 23時56分

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