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コピー作りに役立つ一冊……書籍『日本語表現大辞典』

今日は、出版フリーランサーの組織である「出版ネッツ」の会議だった。その中で、お互いに関わった仕事について紹介し合う時間を設けているのだが、今回は、3月に『日本語表現大辞典』(講談社刊)を上梓された小内一さんのお話をうかがった。

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「辞典」という通り個人でまとめられた書籍としては大作だ。
どういう辞典かというと、要するに「ある言葉がどういう表現で使われているか」を紹介しているものである。

例えば、「愛」という言葉を引くと、「あいがうつくしい」「あいがきえる」「あいがたぎるゆのよう」などと30例の「愛」に関するフレーズが表記され、さらに、そのフレーズそれぞれに1〜3例の実例が紹介されている。「あいがうつくしい」には……「愛情が薄ら氷のようにきらきら美しい」(円地文子)、「愛は闘争と不幸と不信と猜疑と嫉妬などによって、かえって宝石のように原石から美しく磨き出される」(瀬戸内寂聴)、「男と女の高く美しい愛情の物語が満ち満ちている」(石坂洋次郎)……という具合だ。

一般の人には使い道は少ないのかも知れないが、僕の場合、広告のコピーや雑誌の記事を書くときなどには、非常に役に立つものなのだ。
短いフレーズである程度の表現をしなくてはならないキャッチフレーズやコピーは、最初にコンセプトが決まっているものに付けることが多いのだが、そうしたコンセプトに合った言葉や表現を、無数に考え出してから、もっとも合ったものを選び直すという作業をしなくてはならない。どうしても自分の頭だけでは同じような表現ばかりになってしまう。そのためにいろいろな本や文章を読んで新しい表現方法を身に付けるのだが、それでも限界がある。そういうときには、こうした辞典の存在は、とてもありがたいものだ。

小内さん自ら言われているとおり、選りすぐりの名文を集めたものではない。ご本人の蔵書や「何となく選んだ本」などから、あらゆるフレーズを60,000件ほどピックアップして、さらにそこから20,000件弱に絞り込んだものらしい。そこは、校正者として25年の経歴を持つ著者の機械的作業だ。校正者は、名文であろうが駄文であろうが、その原稿に書かれている言葉や表現について、それが正確なものであるかを冷静で客観的に判断し、編集者や筆者にアドバイスするのが仕事である。
この本の背景は、極めて校正者らしい言葉に対する距離感である。だからこそ、僕のような人間には使いやすいのだ。コピーづくりでは名文などや文学的表現などは、かえって使いづらいことが多いからである。

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会議の後はいつものように飲み会に。
石原慎太郎の下品下劣な言葉遣いが話題となる。

たかが“物書きくずれの政治屋風情”には、人の気持ちを考えて言葉を選ぶなどという行為は無縁だろう。あんな人間を都知事に選んだ都民の責任として、もうしばらく居心地の悪い東京だ。

【書 名】日本語表現大辞典〜比喩と類語三万三八〇〇
【著 者】小内一
【発行元】講談社 http://www.kodansha.co.jp/
【発行日】2005年03月15日
【体 裁】A5判/869ページ
【定 価】4,200円(税込)
【ISBN】4-06-212830-6

追記:
小内さんの『究極版 逆引き頭引き日本語辞典』(講談社+α文庫/'97発行/1,900円)も、同じようにコピーライター必携の一冊である。未読の方は、ぜひ一度手に取ってみてもらいたい。


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