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芸人なら正面から笑わせろ!

 “お笑いブーム”らしい。ところが、僕にはあまりブームと感じられない。何も「今時の“お笑い”はつまらん!」とオヤジ臭いことを言いたいわけではない。だが、せっかくブームが来ているならば、“大人も子どもも一緒になって楽しめるお笑い”が、もっと身近にあってもいいのではないか?と思ってしまうのだ。

 昨年、NHKの大河ドラマ「新選組!」の脚本を担当した三谷幸喜は、そんな“大人も子どもも楽しめるお笑い”を本気でめざしている。

 「僕の作品で感動してもらおうなんて思っていない。老若男女、すべての人が、最初から最後までずっと笑い続けてほしい。見終わった後、内容なんて憶えてなくてもいい。腹の底から笑ったってことだけ憶えていてほしい」
 真顔でこう言う彼は、80〜90年代の小劇場ブームによって世に出てきたのだが、“正統なお笑い出身”でないことにコンプレックスを感じているようだ。そんなコンプレックスのせいか、“正統なお笑い出身”であるビートたけし=北野武が、いつの間にか“お笑いの正面”に立たなくなったのと反比例するように、三谷幸喜はそこに立ち続ける。“昭和のお笑い”をぶち壊し、現代のバラエティ番組のベースを作った一人である北野武と、そのバラエティ番組全盛時代に抵抗するかのように“シチュエーション・コメディ”に拘る三谷幸喜。二人が意識し合っていると聞いたことはないが、彼らは、映画作家としてもライバル関係にあるなど、不思議な因縁を持っている。ただし、こと“お笑い”に限っていえば、現時点では三谷幸喜に軍配を上げる。

 いまブームの中心となっている“若手お笑い芸人”の中から、下ネタと勢いだけで笑わそうとせずに、“お笑いの正面”に立ち続けようと性根を入れた芸人が出てきたとき、きっと僕にも“お笑いの新たなるムーブメント”が感じられるだろう。

(ある会報誌に書いた記事より転載)

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