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女から観た男の視点(映画「female【フィーメイル】」を観て)

2002年の『Jam Films』からスタートして『Jam Films2』『Jam Films S』と発展した『Jam Films』シリーズ。毎回、一つのコンセプトを基に作られた複数のショートフィルムのコンピレーション・ムービーである。

今回は、人気女性作家5人が“女性”をテーマに書き下ろした作品を、注目の監督たちが5つの映画作品として仕上げたものだ。

以前このブログで少し触れたが、残念ながら試写会で観られなかった作品で、劇場で観るのを楽しみにしていた。

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長谷川京子、石井笛子、高岡早紀、大塚寧々、石田えり、登場する女優陣は、どれもエロティックな女性を演じている。
映画を観た直後に感じたのは、そのエロティシズムが男性の一方的な欲望から生まれたものではないかということだった。女性が書いた原作なのにも関わらず、それを男性が監督する(「女神のかかと」を除く)ことで、男の視線でみた女像になってしまった。そのせいで、せっかく女優たちの演技がエロティックなのに、全体に渡ってどこか物足りなさを感じさせる。見終わると、なんとも微妙なエロい気持ちだけが残るのだ。

しかし、時間が経ってよくよく考えてみると、「男から観た女像」というのは大きな間違いだった。

書き下ろしという原作を読んだわけではないので断言は出来ないが、たぶんこれは「女から観た、男が好みそうなエロティシズムを持つ女像」なのだ。だから、女性が観ても男性が観ても、本当のエロティズムは感じさせられないだろう。

原作者たちのすべてを詳しく知るわけではないが、僕が知っている限り彼女たちは、僕にとって女としての魅力を感じさせてくれない作家たちだ。それは、作品を読んでもエッセイなどを読んでも感じること。僕とは、趣味趣向も、生き方や人生観も、どこか噛み合わない人たちなんだと思う。
それが、全編に渡る物足りなさに繋がるのだろう。

とはいえ、それをさらに男性監督が演出しているところにこの映画の面白さがある。
だからこそ、何とも微妙に後味の残るエロさなのだ。
この気持ちは、たぶん観てもらわないと共有できない気がする。

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個別の作品について一つだけ。

僕はこれまで、俳優・松尾スズキは好きだったが、脚本家or監督・松尾スズキは今一好きになれなかった。脚本にしても演出にしても、楽しさのツボが違っているのだと思っていた。ところが、「夜の舌先」の脚本家&監督・松尾スズキは、最初から最後まで僕を爆笑させてくれた。僕にとっては、今回このことが一番の収穫。
久しぶりに見せてくれた高岡早紀のナイスバディと、松尾スズキの爆笑演出は、一見の価値ありだ。

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作品名:female【フィーメイル】('05/日本/118分)
 ■桃
  原作:姫野カオルコ
  監督:篠原哲雄  出演:長谷川京子/野村恵里
 ■太陽のみえる場所まで
  原作:室井佑月
  監督:廣木隆一
  出演:大塚ちひろ/石井苗子/片桐はいり
 ■夜の舌先
  原作:唯川 恵
  監督・脚本:松尾スズキ  出演:高岡早紀/近藤公園
 ■女神のかかと
  原作:乃南アサ
  監督・脚本:西川美和  出演:大塚寧々/森田直幸
 ■玉虫
  原作:小池真理子
  監督・脚本:塚本晋也
  出演:石田えり/加瀬亮/小林薫

公式サイト:http://www.female-movie.com/
個人的評価:★★★★★★☆☆☆☆(10点満点)

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