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ナオミはやっぱり絶叫系?
(映画『ザ・リング2』を観て)

『21グラム』('04/アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督)で、“奪われた21グラム=命”に苦しむ女性を演じたナオミ・ワッツ。ショーン・ペンとベニチオ・デル・トロという個性派とも演技派ともいえる両者に挟まれながらも、これまでの“絶叫系”といわれる演技から大きく脱皮し、すばらしい演技を見せてくれた(といっても、絶叫するシーンがあったが……)。
あの映画を見た僕の目には、ペンとデル・トロの豪華キャスティングとして話題を集めた作品で一番光る演技をしていたのは、間違いなくナオミ・ワッツだと映った。

ペンとデル・トロに触れ少なからず刺激されただろうが、それだけでなく二人の存在感を喰ってしまい「類まれなる演技力を持つ」と評価されたナオミ・ワッツが、『ザ・リング』('02)の続編に再び参加した。

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前作『ザ・リング』は、日本で貞子ブームを巻き起こした鈴木光司原作『リング』('98)のハリウッド版リメイクだったが、今回は監督に日本版『リング』のメガホンを取った中田秀夫を迎えオリジナルストーリーの作品となった。

日本版『リング』シリーズは、続編以降、貞子の生み出した‘’リング・ウイルス‘’を中心に物語が展開するが、ハリウッド版ではウイルスよりも、ナオミ・ワッツ扮する主人公・レイチェルとその息子エイダンの心理描写を中心に展開していく。その上で、サマラ(ハリウッド版の貞子)が呪いのビデオを通じて求めたものや、サマラがレイチェルたちにつきまとう要因を軸に物語が構成されている。

前作『ザ・リング』は、日本版『リング』を観た人なら物足りなかったと思う。進行、場面展開、構図、台詞まで、日本版をなぞったものであり、「あ〜、ここで貞子がテレビから出て来るんだよな〜」と思うと、その通りサマラが出てくる……、これでは、ホラー映画なのに先が分かってしまい、面白みというか恐怖感がほとんどなくなってしまう。
そういう意味では、今回の作品がオリジナルストーリーとなったことは、日本の観客にとっては喜ばしいはずだ。

(余談になるが、喜ばしいと言えば、本作で重要な登場人物となるエヴリンを演じているのは、『キャリー』('76)のシシー・スペイセクである。このキャスティングは、70年代ホラー好きな観客にとっても垂涎ものだろう)

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絶叫系から演技派へと脱皮したはずのナオミ・ワッツは、本作でもしっかりと絶叫してくれた。しかも今回は、声に出さない絶叫顔も見せてくれている。やはり、この人は絶叫がよく似合う。

さらに本作は、中田秀夫+鈴木光司のコラボ作品である『仄暗い水の底から』('01)も若干かぶる演出となっている。
そう! つまりナオミ・ワッツは、この作品で監督から黒木瞳の演技も要求されたのだ(きっと〈笑〉)。事実、彼女はインタビューの中で、『仄暗い水の底から』を観ていることを告白している。つまり、ペンやデル・トロというアメリカ俳優の演技だけでなく、今や日本でもっとも脂ののった女優である黒木瞳の演技からも影響を受けたということだ(ホントか?)。

ということで、これまでの絶叫とは一緒にしないでほしい。
これからのナオミ・ワッツの絶叫は、あの『仄暗い水の底から』で見せた黒木瞳の絶叫演技を身に付けたものなのだ。

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【作品名】ザ・リング2
    ('05/The Ring 2/アメリカ/110分)
【監督】中田秀夫
【脚本】アーレン・クルーガー
【音楽】ジョン・ブライオン
【出演】ナオミ・ワッツ(『21グラム』'04)
    デイヴィッド・ドーフマン
    サイモン・ベイカー
    (『L.A.コンフィデンシャル』'97)
    シシー・スペイセク
    (『三人の女』'73/『キャリー』'76/ほか)
    エミリー・ヴァンキャンプ
【公式サイト】http://www.thering2.jp/
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