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映画コピーは当てになる?(映画「ミリオンダラー・ベイビー」を観て)

ハズレの少ないクリント・イーストウッド作品、アカデミー賞主要4部門受賞、ゴールデングローブ賞2部門受賞、その他、日米の小うるさい評論家たちが大絶賛……
あまり過度に期待して映画を観ることもなくなったけど、それでも若干期待してしまう。

はたして、噂に違わぬ傑作なのか……?

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個人的な事だが、最近の僕は映画を観て重く深く考えるテンションじゃないので、こういう終わり方はもう一つ。
それと、とりあえず映画としてこういう問題提起の仕方が上手い手法とは思えない。
「ミスティック・リバー」で、運命に翻弄されながらそれでも生き続けていく人生と、川の流れのようなパレードをシンクロさせ、見事なラストシーンを描いたイーストウッド監督。基本的に、あんまりまどろっこしい物言いをしない映像作家だが、それにしても本作はストレートすぎて深みがない。否、テーマそのものは深いんだけど、ああいう表現では一面的に捉えすぎで、投げかけられた観客はイーストウッド扮する主人公フランキーが「正しいか、正しくないか」という単純比較しかすることができない。

23年間毎日ミサに通う主人公が結局救われないことや、ラストシーンの余韻を与えないような描写は、共和党支持でありながらブッシュ政策を批判するためにあえてこういう作品を撮った、とも考えられたりするのだろう。ま、実際にどんなつもりで撮ったかは知らないが、いずれにしても「ミスティック・リバー」に比べて作品の完成度は低いという評価に変わりはない。

ヒラリー・スワンク演じるマギーがボクシング世界王者への階段を上る前半は、なかなかテンポもよく面白く観られる。「ボクシング映画ではない」という触れ込みは、かえって皮肉にすら感じる。スワンクの演技も、これまでのどの作品よりも素晴らしいと評価できるものだった。だからこそ、もったいないというのが率直なところ。
こうして考えると、尊厳死に話を持って行かなくとも、「これはシンプルなラブストーリー、父と娘のラブストーリーだ」(イーストウッド)の通り素直な展開で終わらせた方がよかったと感じる。もちろん、モーガン・フリーマンの渋い狂言廻しを活かすためにも、ラストがアン・ハッピーエンドであることは変えずにね。

けっして悪い映画ではないので、あくまでも「今の僕」のテンションが今イチと思わせているだけなのかも知れない。いつの日か、もう一度観てみようと思う。

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日刊スポーツの千歳香奈子氏のコラムによると、今年オスカーの作品賞のノミネートされた作品は、どれも興行成績が伸び悩んでいるとか。もともと一般的にはハリウッド的大作映画が好まれる傾向にあるので、今年のオスカーで注目されていた本作や「アビエーター」のような作品は敬遠されるのかも知れないが……。

そろそろ、日本の映画広告も「アカデミー賞最有力」「全米NO.1ヒット」「ニューヨークタイムズで大絶賛」など、他力本願的なキャッチコピーを掲げて期待させるのは止めればいいのにと思う今日この頃である。

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【作品名】
 ミリオンダラー・ベイビー
  (MILLION DOLLAR BABY/'04/アメリカ/133分)
【監督・製作・音楽】
 クリント・イーストウッド
  (『パーフェクト・ワールド』'93/
   『ミスティック・リバー』'03)
【脚本】ポール・ハギス
【出演】
 クリント・イーストウッド
  (『ザ・シークレット・サービス 』/'93『目撃』'97)
 ヒラリー・スワンク(『インソムニア』'02)
 モーガン・フリーマン
  (『セブン』'95/『ブルース・オールマイティ』'03)
【公式サイト】http://www.md-baby.jp/
【個人的評価】★★★★★★☆☆☆☆(10点満点)

※人名横のカッコ内は、その人の関連作品の中でできるだけ最近のオススメ作品。


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