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2005年5月

映画コピーは当てになる?(映画「ミリオンダラー・ベイビー」を観て)

ハズレの少ないクリント・イーストウッド作品、アカデミー賞主要4部門受賞、ゴールデングローブ賞2部門受賞、その他、日米の小うるさい評論家たちが大絶賛……
あまり過度に期待して映画を観ることもなくなったけど、それでも若干期待してしまう。

はたして、噂に違わぬ傑作なのか……?

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個人的な事だが、最近の僕は映画を観て重く深く考えるテンションじゃないので、こういう終わり方はもう一つ。
それと、とりあえず映画としてこういう問題提起の仕方が上手い手法とは思えない。
「ミスティック・リバー」で、運命に翻弄されながらそれでも生き続けていく人生と、川の流れのようなパレードをシンクロさせ、見事なラストシーンを描いたイーストウッド監督。基本的に、あんまりまどろっこしい物言いをしない映像作家だが、それにしても本作はストレートすぎて深みがない。否、テーマそのものは深いんだけど、ああいう表現では一面的に捉えすぎで、投げかけられた観客はイーストウッド扮する主人公フランキーが「正しいか、正しくないか」という単純比較しかすることができない。

23年間毎日ミサに通う主人公が結局救われないことや、ラストシーンの余韻を与えないような描写は、共和党支持でありながらブッシュ政策を批判するためにあえてこういう作品を撮った、とも考えられたりするのだろう。ま、実際にどんなつもりで撮ったかは知らないが、いずれにしても「ミスティック・リバー」に比べて作品の完成度は低いという評価に変わりはない。

ヒラリー・スワンク演じるマギーがボクシング世界王者への階段を上る前半は、なかなかテンポもよく面白く観られる。「ボクシング映画ではない」という触れ込みは、かえって皮肉にすら感じる。スワンクの演技も、これまでのどの作品よりも素晴らしいと評価できるものだった。だからこそ、もったいないというのが率直なところ。
こうして考えると、尊厳死に話を持って行かなくとも、「これはシンプルなラブストーリー、父と娘のラブストーリーだ」(イーストウッド)の通り素直な展開で終わらせた方がよかったと感じる。もちろん、モーガン・フリーマンの渋い狂言廻しを活かすためにも、ラストがアン・ハッピーエンドであることは変えずにね。

けっして悪い映画ではないので、あくまでも「今の僕」のテンションが今イチと思わせているだけなのかも知れない。いつの日か、もう一度観てみようと思う。

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日刊スポーツの千歳香奈子氏のコラムによると、今年オスカーの作品賞のノミネートされた作品は、どれも興行成績が伸び悩んでいるとか。もともと一般的にはハリウッド的大作映画が好まれる傾向にあるので、今年のオスカーで注目されていた本作や「アビエーター」のような作品は敬遠されるのかも知れないが……。

そろそろ、日本の映画広告も「アカデミー賞最有力」「全米NO.1ヒット」「ニューヨークタイムズで大絶賛」など、他力本願的なキャッチコピーを掲げて期待させるのは止めればいいのにと思う今日この頃である。

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【作品名】
 ミリオンダラー・ベイビー
  (MILLION DOLLAR BABY/'04/アメリカ/133分)
【監督・製作・音楽】
 クリント・イーストウッド
  (『パーフェクト・ワールド』'93/
   『ミスティック・リバー』'03)
【脚本】ポール・ハギス
【出演】
 クリント・イーストウッド
  (『ザ・シークレット・サービス 』/'93『目撃』'97)
 ヒラリー・スワンク(『インソムニア』'02)
 モーガン・フリーマン
  (『セブン』'95/『ブルース・オールマイティ』'03)
【公式サイト】http://www.md-baby.jp/
【個人的評価】★★★★★★☆☆☆☆(10点満点)

※人名横のカッコ内は、その人の関連作品の中でできるだけ最近のオススメ作品。


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若き日との切ない別れ(映画「バタフライ・エフェクト」を観て)

人はよく、「あの時こうしていれば自分の人生は変わっていただろうか?」などと、無意味な仮説で自分勝手な「現在」を妄想しようとする。
かく言う僕も、人の10倍はあろう想像力を駆使して自分勝手な過去を作り上げてオリジナルな世界に入り込む妄想癖があった。過去形なのは、最近は過去に遡って自分勝手な現在を描き出すような妄想はしなくなったということだ(妄想癖は直っていない)。

映画「バタフライ・エフェクト」は、そのタイトル通り「はじめの条件のわずかな違いが、将来の結果に大きな差を生み出す」というカオス理論のタイム・パラドックスが展開する作品である。

「もしも過去が少しだけ変えられるとしたら、あなたは誰のために何をしますか?」
——これは、この作品のキャッチ・コピーだ。

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僕には、自分より大切な人たちがいる。

僕が、かつて過去に遡る妄想に明け暮れているとき、どれほシュミレーションを重ねても、彼や彼女たちと自分がみんな幸せになることはなかった。それぞれ人格が異なり別々に暮らしている人たちを、それぞれが持っているであろう価値観に合わせて、なおかつ自分に都合のいい現在を作り上げるなんていうことは、かなりディテールを深く突っ込んで作り込む僕の妄想の世界では不可能に近い。

そう。主人公エヴァンの作り上げる世界と同じだ。

何よりも、僕の大切な人たちが今それぞれ幸せに生きているのに、妄想の中とはいえ僕が勝手にそれを変えてしまうことにためらうようになった。仮に不幸せだとしても、彼女たちが幸せになるのは彼女たちの意思で変えるしかないのだ。僕ができるのは、そのためのちょっとした手伝いだけである。

「人類の幸福感の質量は一定であり、誰かが幸せな分、誰かが不幸せになる」という説がある。僕は自分のこれまでの人生が幸せだったとは思わないが、僕の周りの人たちはどうやら幸せであるらしい。だとしたら、僕が幸せを感じることができない分、僕の大切な人たちにはもっともっと幸せを感じてほしい。

だから今の僕は、「もしも過去が少しだけ変えられるとしたら、あなたは誰のために何をしますか?」と聞かれれば、「僕は僕の大切な人たちのために、過去を変えることなんてしない」と答えるのだ。そう答えるようになったのは、「大人になった」ということなのかも知れない。

ラストシーン、エヴァンは青春の淡き恋心に別れを告げる。それは、彼が大人へと成長したことなのである。

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【作品名】バタフライ・エフェクト
   (The Butterfly Effect/'04/アメリカ/113分)
【監督・脚本】エリック・ブレス
       J・マッキ—・グラバー
【音楽】ジョン・ブライオン
【出演】アシュトン・カッチャー(主演兼製作総指揮)
    エイミー・スマート
    ウィリアム・リー・スコット('03『アイデンティティー』)
    エルデン・ヘンソン
【公式サイト】http://www.butterflyeffect.jp/
【ストーリー】ストーリーを知りたい人は→こちらから←
【個人的評価】★★★★★★☆☆☆☆(10点満点)


追記:
これ、ラストシーンは精神病院で入院しているエヴァンの妄想とも考えることができるけど、それって、「ドラえもんが植物状態ののび太の夢」ってくらいシュールな解釈だよなぁ……。

追記2:
これを書いたあとにネットで調べていたら、パンフレットに書かれているディレクターズ・カットの“もう一つのラストシーン”の内容をおおよそ知ることができた。映像を見ていないので分からないが、いま知る限りだとディレクターズ・カット版のラストシーンでは、単純にパラドックスがテーマとなってしまうようなので評価が下がる気がする。知りたい人は→http://mahito7.hp.infoseek.co.jp/butterflyeffect.htm
それと、自分のブログで「絶賛」している若い人たちが多いことに驚いたが、僕よりも精神的に大人な人にはそれほどお薦めするものでもないことも記しておく。

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映画「バタフライ・エフェクト」あらすじ

感想文を書くときに、何とはなしにストーリーを書いていたらそれなりにまとまっちゃったので、これはこれで掲載しておこうと思う。

※未見でストーリーを知りたくない人は
読み飛ばしてください!

新たなるハリウッドの大物候補生として、アメリカ映画界でその名を売りだし中のアシュトン・カッチャーが、自らプロデューサーとしてこの映画の製作に関わり、かつ主人公エヴァンとして主演する本作。彼の将来の「代表作」の一本となるか、注目の作品である。

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主人公エヴァン(アシュトン・カッチャー)は、7歳という幼い年齢でありながら、時折、ブラック・アウト(部分的な記憶喪失)になってしまう少年だった。将来の夢を絵に描く授業のとき、母親と出かける前の台所に一人でいるとき、、彼の幼なじみであるケイリー(エイミー・スマート)が虐待を受けていることを知ったとき、犯罪者用の精神病棟にいる父親と初めて面会したとき、いつも彼はブラック・アウトしてしまい、自分に何が起こったのかハッキリと憶えていることができないのだ。
父親も同じ症状だったことから、母親は彼を精神科の医師に診断させる。父親のことも知っている精神科の医師は、記憶力向上のために、彼にいつでも日記をつけさせることとした。

*  *  *  *  *  *  *

時が過ぎ13歳になったエヴァンは、まだブラック・アウトの症状が治らない。
彼は、虐待を受け続けているケイリーと、彼女の兄トミー、そして太ったレニーという遊び仲間に囲まれて、窮屈な片田舎の暮らしの中で退屈していた。そのストレスは、まるでステレオタイプのアメリカの不良少年のように、小さな悪戯から徐々に大きな犯罪へと繋がっていく。
とくに、妹ともに虐待を受けていたトミーは、サディスティックな性格となりエヴァンやレニーが着いていけないような性格になり、平気で犯罪を繰り返すようになっていた。

そんな中、彼らの起こした大きな事故(その事件の詳細もエヴァンはブラック・アウトしてしまい記憶が曖昧だ)から端を発し、エヴァンは引っ越すことになってしまう。淡い恋心を感じているケリーを置いて……。
エヴァンを乗せたクルマが走り去る時、走って追ってくるケイリーに、エヴァンは「I'LL COME BACK FOR YOU(君を迎えに来る)」と日記帳に書き、ケリーに向けて窓ガラスに押し付けた。

*  *  *  *  *  *  *

その後、そんな大切な約束も時とともに忘れるほど、エヴァンは順調に成長する。
彼が20歳になったとき、彼は心理学を専攻し「記憶」に関して学ぶ大学生となっていた。あれから7年、未だに日記は付け続けているが、彼はブラック・アウトしない普通の大学生となっていたのだ。

過去は遠のきケイリーの記憶さえ消えかけ、すべては平穏だった。しかし、あるとき彼は、幼い頃に書いた日記を読み返すことによって、過去の自分の記憶を追うことに興味を持ってしまう。しかしそれは、平穏な生活を送る彼が開いてはいけないパラドックスの鍵だったのだ。

日記を見つめている彼は日記を書いた当日の陽光の中にあった。忘れていた、ある出来事が鮮烈に蘇る。そこには幼馴染みの少女ケイリーがいた。エヴァンと彼女が引き裂かれることになった決定的な理由について記憶の一端が見えてきた。
そして“君を迎えに来る”という約束を果たせなかったエヴァンは、7年振りにケイリーに会いに行く。田舎町で暮らし続けていたケイリー。幸せとは言えないながらも必死で生きていた彼女は、エヴァンが自分の過去を取り戻すために彼女の過去までもほじくり返したことで、彼と別れた翌日、自殺してしまうのだった。

彼は、もう一度日記を読み返し、彼の記憶の世界へと遡る。彼は、父親と同じように、過去に遡って自分の記憶を操ることで、その後戻った「現代」が、「以前とは別の現代」になることに気が付いたのだ。
自分の都合のいい世界を創り上げる力を得たエヴァンは、幼い頃に恋していたケリーが幸せになるように、何度も過去へ遡っていく……

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“奇才”を体感せよ!(岡本喜八の上映特集について)

先日、「いま上映している作品でお薦めのものがないか?」と聞かれたので、新作映画については改めて書くが、「映画が好きなら絶対にスクリーンで観て欲しい!」と思うリバイバル上映作品を紹介する。

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今年の2月、岡本喜八監督が亡くなった。
すでにブログは開設していたのでちょっと書きだしたのだが、とんでもないほどの長文になってしまい、ブログの最初からこんな長文を載せるのもどうかと思ったし、悲しい出来事に直面して泣き言のような文章だったし、投稿するのをやめてしまった。僕にとっては、とにかくショッキングな出来事だった。

岡本喜八——まさに「奇才」という言葉がピッタリの監督である

独立愚連隊(1959)、殺人狂時代(1967)、座頭市と用心棒(1970)、近頃なぜかチャールストン(1981)、ジャズ大名(1986)、EAST MEETS WEST(1995)、助太刀屋助六(2001)……。
好きな映画を挙げたらきりがない。「助太刀屋助六」が最後に劇場で観た作品となってしまった。
新作に取り組んでいるという話もあったが、「助太刀屋助六」の公開後、知り合いから体調がかなり悪いということも聞いていた。その時には「『助太刀屋助六』では“喜八節”をたっぷりと見せてもらえたし、元気になってもっと楽しませてもらいたいな〜」くらいに感じていたが、いざ亡くなると、ショックは大きい。

鋭角で敏感なセンスで、その時代の社会をえぐり取るるような作品を撮ったかと思えば、一転してハイセンスな笑いでニヒルに時代を見つめるような作品で楽しませてくれる。映画界には、洋の東西を問わず、こうした「奇才」が時折現れるが、岡本喜八なき後、日本映画界に続くものが見当たらない。

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さて、そんな岡本喜八の特集「追悼・岡本喜八監督の軌跡」が、池袋の新文芸坐で上映されている。詳細は、リンク先から確認していただきたいが、僕もいくつか観に行くつもりだ。
もっともお薦めなのは、「日本のいちばん長い日」(1967)と「肉弾」(1968)の29〜30日だ。どちらも、1945年8月15日の終戦日について描いた作品である。一般的には「日本のいちばん長い日」の評価が高いが、「肉弾」は僕の中で“名作”として位置づけている作品。ATGという優れた作品集団のなかでも傑出の一本だ。

とにかく、自分に興味がある1本を探して、ぜひスクリーンの前に足を運んで観てもらいたい。きっと「なるほど奇才という言葉が合う」と感じてもらえることだろう。

「肉弾」に出ている大谷直子はすご〜くかわいかった。トークショーでも行ってみようかな……。

【特集名】追悼・岡本喜八監督の軌跡
【期間】2005年5月21日〜6月10日
【劇場】 東京池袋・新文芸坐
【公式サイト】http://www.shin-bungeiza.com/index.html

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何も考えずに笑っておこう(映画「魁!!クロマティ高校」を観て)

週刊少年マガジンで連載中である野中英次原作のマンガ「魁!!クロマティ高校」が映画化された。

最初に言っておくが、原作マンガに強烈な思い入れがある人にはお薦めしない。
「ぜってーあの世界観は実写じゃ無理だよ〜」と思いながらも、ついついわずかな期待にかけてしまうものだが、基本的に、マンガはマンガ、映画は映画である。昨年公開された「デビルマン」を観て気が狂わんばかりに激怒したような人は、夜中にマンガ喫茶に行って1000円で原作を読破する方がいいだろ。

ということで、1時間半を気軽に笑いたい人にお薦めする作品である。

“原作に強烈に思い入れのある人”は笑えなくとも、“普通のクロ高ファン”なら笑いどころは満載である。とはいえ、こういうギャグ映画は、あまり期待しても肩すかしになってしまうだろうから、内容について細かく書くことは控えておこう。

原作を知らないと笑えないかと言えば、そんなこともない。
原作のマンガは、絶妙なパロディと脱力感のある笑いで展開する作品だ。本来パロディーのギャグはその元ネタを知っているからこそ面白いのだが、このマンガに限っては程良い脱力感が効を奏してか、元ネタを知らない人もファンになってしまうという不思議な現象を生みだしている。
そんな原作が元ネタとなっているこの映画は、「クロ高」なんてまったく知らなくとも、きっと、「スペクトルマン」のゴリやラーが出てくれば笑ってしまうだろうし、遠藤憲一と高地東生の「プータン」に思わず吹き出してしまうのだ。

“普通のクロ高ファン”である僕としては、主人公である神山(須賀貴匡)と、最高のキャラであるメカ沢(声・武田真治)が、かなり忠実に実写化されていたのがうれしい。
上映の1時間半、5分と開かずに試写会場に笑い声が溢れていたことも、評価の参考としてもらえればと思う。

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【作品名】魁!!クロマティ高校 THE★MOVIE
    ('05/日本/85分)
【監督】山口雄大  【原作】野中英次
【脚本】増本庄一郎  【構成】板尾創路
【出演】須賀貴匡  虎牙光揮  山本浩司  渡辺裕之
    高山善廣  板尾創路  金子昇  島根さだよし
    ロバート  増本庄一郎  遠藤憲一  高知東生
    津田寛治  坂口拓  武田真治  かないみか
    小林清志  阿藤快  他
【公式サイト】http://www.kurokou.com/

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当代随一 見なけりゃ損々
(歌舞伎座「五月大歌舞伎」)

エンターテインメントを楽しむ上で、「いま生きているからこその感動」というものがある。
その時代の最高のエンターテインメントを体感することは、何ものにも代え難い感動を享受させてくれるのだ。映画も含め、エンターテインメントはやはり「ナマモノ」であり、いくらAV設備が発達しようとも、その時代時代の感動までは後世に伝えきれない。だからこそ、エンターテインメントをLIVEで体感し感動することは、その時代に生きている最高の喜びの一つなんだ、と僕は考えている。

勘九郎改め中村勘三郎の襲名披露「五月大歌舞伎」(夜の部)を歌舞伎座で見た。

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第一部 「義経千本桜」川連法眼館の場——
「平成三之助」の三人に、「昭和三之助」の一人である菊五郎が加わった舞台である。歌舞伎興行を取り仕切っている松竹が、つねにスター役者として歌舞伎界の中心に置き続ける役者たちの共演だ。
若い女性に人気の「平成三之助」も、当代の菊五郎(映画女優・寺島しのぶの父親と言った方が通りがいいか?)にかかっては、彼の引き立て役となってしまう感は否めない。しかし、将来、この「平成三之助」たちが歌舞伎界を引っぱっていくことは、松竹が歌舞伎興行を取り仕切っている限り決定されていることである。その「三之助」たちの若き時代の揃い踏みを見ておくというのも、歌舞伎ファンにとっては「当代随一」の楽しみ方である。特に、将来、市川團十郎を継ぐべき海老蔵は、当代の若手役者の中では、役者としてのスケール感が群を抜いている。実はあまり好きな役者ではないのだが、こうした若い役者が育っていくのを楽しみにすることも、歌舞伎の醍醐味なのだ。
個人的には、「菊五郎型 四ノ切」を見られたことも満足の作品となった。

第二部 「鷺娘」——
玉三郎の女形による一人舞踊は、まさに「当代随一」だ。
玉三郎の何が素晴らしいって、その仕草、立ち居振る舞い、すべてにおいて色気がある女形である。日本舞踊において手先の美しさは重要な要素だが、玉三郎は、手ぬぐいをひょいと持つときに立つ小指まで美しい。いや、小道具として何気なくまわす傘の骨や、苦しむ鷺を演じる際の着物の裾まで、色気立っているのである。まさに爪の先まで色気の感じる、当代切っての女方といえる。玉三郎は女形としては身長が大きくなりすぎてしまい、仁左右衛門以外の役者との組み合わせでは美しい娘役をやることも少なくなってしまったのだが、一人舞踊なら思う存分“玉三郎らしさ”を発揮することができる。今日の演目「鷺娘」だけでなく、「藤娘」「娘道成寺」など、玉三郎の一人舞踊を観る機会があれば、ぜひお薦めする。

それにしても、先月も今月も、勘三郎の知名度を最大に使った「歌舞伎役者の見本市」のようなキャスティング。松竹の戦略にまんまと乗せられて高いチケットを何度も買わされるのは癪にさわるが、こうした豪華な顔ぶれを楽しむのも「襲名披露」ならでは。やっぱり楽しい。

第三部 「野田版 研辰の討たれ」——
2001年に歌舞伎座で上演され、歌舞伎界だけでなく演劇界全体で大絶賛された舞台で、勘九郎改め勘三郎の襲名披露として、再演されることになった演目である。1980〜90年代における小劇場ブームの中心的な演出家である野田秀樹による脚本・演出の新作歌舞伎だ。前回は残念ながら見ることができず仕方なくDVDで我慢していたのだが、ようやくLIVEで見ることができた。
新・勘三郎は、「鏡獅子」や「高坏」などの舞踊も「当代随一」といえるが、やはり「お調子者の江戸庶民」を演じさせたら、いま生きているどの歌舞伎役者たちも並ばないほどである。まさに「当代随一」だ。先月の歌舞伎座も襲名披露として別の演目興行だったが、先月に比べて勘三郎がのびのびとしており、だからといって、このところちょっと気になっていた「悪のりしすぎ」ということもない。今月の勘三郎は、昼の部も夜の部も、まさに大名跡に相応しい“役者ぶり”であり、間違いなく“後世に残る勘三郎”だ。
また、アンガールズ、波田陽句など若手お笑い芸人のギャグや、ワイドショーで話題となっている獅童の結婚話を取り混ぜたり、先月上映された映画「真夜中の野次さん喜多さん」の“金髪の喜多さん”を七之助本人に演じさせて登場させるなど、普段、歌舞伎に慣れていない若い人たちも十分に楽しませてくれる構成になっている。
この演目で何よりも「当代随一」なのは、野田秀樹の演出である。舞台演出、音響、照明、どれをとっても斬新な演出で、DVDで見た前回の「研辰」から一昨年の「野田版 鼠小僧」を経て、格段と洗練された演出となっている。「野田版 鼠小僧」でも感じたが、子どもの頃から歌舞伎座の舞台を見続けている中で、これほど歌舞伎座という舞台を上手く使った演出家は他にいない。勘三郎が積極的に現代舞台の演出家たちを歌舞伎に取り入れた最大の効果である。この後、7月の大阪・松竹座でも「研辰」は上演されるので、見られる人は必見である。


久しぶりに最初から最後まで楽しんだ歌舞伎興行だったために、いつもにも増してずいぶんと長くなってしまったが許してほしい。残念ながら2日後には楽日となってしまうので、これから見ようと思ってもなかなか見ることはできないかもしれない。何と言っても人気興行であり、チケットの入手も難しい。基本的に1階席でしか見ないことにしている僕も、真ん中とはいえ2階5列目という席しかとれなかった程である(しかも、そんな悪い席でも20000円!)。しかし、歌舞伎の世界には、まだまだ「当代随一」として、最高の感動を与えてくれる演目があり、素晴らしい役者たちがいる。

歌舞伎を別次元のエンターテインメントと考えている人も、「当代随一」を味わうことによって、ぜひ「いま生きているからこその感動」を体感してもらいたいと思う。


【興行名】十八代目中村勘三郎襲名披露
     「五月大歌舞伎」(夜の部)
【出演】中村勘三郎
    尾上菊五郎/尾上菊之助/市川海老蔵/市川佐團次/
    坂東玉三郎/中村福助/中村橋之助/市川染五郎/
    中村勘太郎/中村七之助/坂東三津五郎/ほか
【公式サイト】http://www.kabuki.gr.jp/


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今日の風太くん

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いまや、連日、テレビのニュース番組では、二本足で立ち上がるレッサーパンダの話題で盛り上がっている。なんと、新聞までもカラー面で取りあげる始末。 昔からカルガモの親子が道路を渡ったのどうのと大騒ぎしていたが、近年のこの手の騒ぎには辟易させられる。

動物ならまだしも、動物と人間を同じテンションで扱って騒ぐアフォなマスコミには怒りすら憶える。
田中耕一さんがノーベル化学賞を受賞した時も、「今日の田中さん」として、レッサーパンダを写メで撮る一般人と同じテンションで、プライベートも無視して報道する。北朝鮮に拉致されて帰国した被害者の方々に対しても、「今日の拉致被害者」的なノリで喜々として報道する。
「今日のホリエモン」ならば多少の報道性もあったが、「今日の田中さん」的報道は、まったくもって報道に携わる人間としてのセンスを疑う。

本日の夕方のフジテレビのニュースでも、「今日の風太くん」は大きく扱われた。こんなつまらない情報を重要ニュース扱いで報道し続けるから、ホリエモンごときに舐められきって大損したのだという自覚なんて、きっとないのだろう。「日本人総白痴化計画」を実行しているフジ産経グループは、いつのまにか自らの社員も白痴化させてしまったようだ。

どうせなら早いところ潰れてしまってくれた方が世のため人のためだと思うが、どこのマスコミも皆同じようなものなので、全部潰れてしまっても困るから、マスコミ全体で自浄作用が働いてくれることを願うのみだ。


ちなみに、今回は“トップ扱い”として「今日の猫さんたち」を載せてみた。

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熱しやすく冷めやすい

今日は友だちが遊びに来ることになっていて、外でご飯を食べるほど金もなかったのでカレーを作った。

僕は子どもの頃から欧風カレーが大好きで、いろんな欧風カレーを食べているが、自分の作ったカレーは正直言ってかなりうまい。
ま、それもそのはずで、食材にそれなりに金がかかっている。
一時期、いろいろと料理を作って友だちたちにふるまっていたのだが、最近は面倒になってきて、滅多に作らなくなった。

まったくもって呆れるほど、僕は熱しやすくて冷めやすい。
面白いと思うとすぐに熱くなってはまり、かなり真剣に打ち込むのだが、それなりにやってしまうとすぐに飽きてしまう。料理を作るのもすでに飽きてしまった。やっぱり料理は作るよりも作ってもらう方がいい。
ま、たまにはこうして自ら料理を作って、友だちたちと家でまったりとするのもいいのだけど……。

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写真は、いつも僕を乗せて大活躍してくれているスクーター。特に意味はない。

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話は変わるが、子どもの時分から大好きな物といえば、スター・ウォーズ(以下SW)だ。
そのSWのepi3がカンヌ映画祭などのプレミア上映を経て、アメリカで公開された。
日本公開まで1か月半もある今のうちから興奮しすぎないように、テレビや雑誌でSWの特集をしていてもあまり見ないようにしているが、これだけあらゆる媒体で騒いでいると、どうしても目にしてしまい、やや興奮しつつある。

およそ30年前、小学生ですでに映画オタクだった兄貴に無理矢理連れて行かれ、最初のSW(epi4「新たなる希望」)を見てから、僕のエンターテインメントの価値観はがらりと変わった。
それ以来、ウルトラマンも仮面ライダーも、ゴジラやモスラやガメラも、それまで見てきた実写特撮ヒーロー物は、もう僕を満足させてくれなくなってしまった。
epi5「帝国の逆襲」の頃には、一人で映画を観に行くほど映画が好きになっていたし、epi6「ジャダイの帰還」の頃には、年に数百本も劇場で映画を見るような映画オタクになっていた。その後、社会人になるとともに忙しさから久しく映画を見なくなっていたが、ちょうど新三部作の第一弾、epi1「ファントム・メナス」あたりから再び映画館に足繁く通うようになり、epi2「クローンの攻撃」の時には映画に関わる仕事も引き受けるようになっていた。
そして今、少し映画ばかり見ている生活を変えようかなと思っているときに、ちょうど新三部作の最終版、epi3「シスの復讐」が公開される。

こうしてみると、SWと僕の映画人生は、かなりシンクロしている。
SWの生みの親であるジョージ・ルーカスがSWに熱くなって冷めるサイクルと、僕が映画に熱くなって冷めるサイクルが、たまたま偶然に時期が重なっただけだろうが、まぁファン真理としてシンクロしているということにしておく。

ルーカスは、この新三部作をもってSWは作らないことを言っているようだが、彼のことだ、きっとそのうちに、もともと構想のあったepi7〜9を作る気になるだろう。持病の糖尿病が悪化しなければ……。
そして、その頃になると、きっと僕の映画熱も三度上がってくるに違いないだろう。

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P.S.
7月の公開には徹夜で初回公演を観に行くか迷っている。
行列の嫌いなおじさんは、さすがに何時間も並んでまで観に行く気にはなれないが……

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“ニコ様”だから許す!(映画「ステップフォード・ワイフ」を観て)

今の僕は、ニコール・キッドマンが出ている作品なら無条件で面白いと思っていたところ、「ザ・インタープリター」があまり面白くなかった。共演がこれまた好きなショーン・ペンであるにも関わらずだ。正直、何も書くことがない。

で、その代わりに今年公開された“ニコ様”映画「ステップフォード・ワイフ」について。

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原作は「ローズマリーの赤ちゃん」のアイラ・レヴィン、1975年にキャサリン・ロスの主演で作られた同名作品のリメイク……なんてことより僕的にそそられるのは、監督のフランク・オズ。いわずと知れた、「スター・ウォーズ」シリーズでヨーダを動かししゃべらせている、あのフランク・オズだ。そして、主演は“ニコ様”。
僕的には手放しで楽しめちゃう作品なのだ。

とりあえず、アメリカ社会を強烈に皮肉ったコメディなので、「スター・ウォーズ」に興味がなく、ニコール・キッドマンが特別に好きじゃなくても楽しめるだろう。

この映画で強く感じたことは、コメディの演技は難しいということ。

「アイズ・ワイズ・シャット」以降の近年のニコール・キッドマンは、ハリウッドの監督たちが「もっとも使いたい女優」の一人となった。この数年は、作品の質の高さに恵まれているという側面はあるが、その出演作品とともに、彼女の演技や役作りも高く評価できるものだった。オスカーやゴールデン・グローブ賞も獲得し、今やハリウッドセレブの中でもトップ・レディ扱いとなった。ただし、それははすべて、基本的にシリアスなストーリーでの演技であった。

泣かせることよりも笑わせることの方が難しい、というのはよく言われることだが、本作品のようなコメディでの演技こそ、彼女の演技の技量を図る絶好の機会。しかし残念ながら、彼女の演技は期待していたほどの高さではなかった。そうした意味では、グレン・クローズやベット・ミドラーという個性派に囲まれてしまったのはニコール・キッドマンにとって不運だったが、逆に彼女たちによって作品全体の質が高められたのは救いと考えるべきだろう。

まぁ、貶すほどダメダメ演技というわけではなく、「ニコ〜、もっともっと演技を磨け〜!応援してるぞ〜!」という程度のこと(笑)。なんてったって、この映画でも“ニコ様”の美しさには惚れ惚れできるのだ。

今年から来年にかけて、まだまだ“ニコ様”映画は公開される予定だ。“ニコ様”の顔を見るだけでも幸せになれる僕としては、待ち遠しい限りである。

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【作品名】ステップフォード・ワイフ
   (The Stepford Wives/'04/アメリカ/115分)
【監 督】フランク・オズ
【原 作】アイラ・レヴィン
【脚 色】ポール・ラドニック
【出 演】ニコール・キッドマン※
     マシュー・ブロデリック
     ベット・ミドラー
     グレン・クローズ
     クリストファー・ウォーケン
【公式サイト】http://www.stepfordwife.jp/
【個人的評価】★★★★★★☆☆☆☆(10点満点)

【追記】
■ニコールキッドマンのオススメ作品(少なくとも本作よりもオススメ)
『アイズ・ワイズ・シャット』『ムーラン・ルージュ』『アザーズ』『めぐりあう時間たち』、『バースディ・ガール』『ドッグヴィル』『コールドマウンテン』『白いカラス』


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おいしい京都——漬物編

京都の土産といえばいろいろあるが、自分のために買ってくるのはいつも漬物だ。

そんな僕が、旅行雑誌などには載っていないのにどこよりもおいしい漬物屋に出合うことができたのは、今回の旅の大きな収穫の一つだ。実は、前述した「うを多」のシェフが紹介してくれたお店だったが、いい店を紹介してくれて感謝している。

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祇園の四条通りの北側を歩いて、切通しの角から2軒隣り。そこの階段に、昼過ぎから夕方まで頑固そうなオヤジが座っている。壁に貼られた紙には、手書きでその日ある漬物の名前が無造作に書かれている。

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自分の納得する漬物を作るために始めたという漬物屋は店舗もない。夜になって営む無国籍料理屋がある2階へと登る階段に、オヤジさんがどっかと座り、スクーターの上に漬物樽を乗せて営業しているのが「一頁」だ。
なるほど、これでは観光客や一見さんは買いにくいし、第一、気がつかないで通り過ぎてしまうだろう。

オヤジさんに声をかけるやいなや、「日本一の漬物を売っています。ただし高いです。安い漬物をお探しなら、この先の◎◎(有名漬物店)へ行った方がいいと思います」と言われた(笑)。
ここの噂を聞いて買いに来た旨を伝えると、その日ある漬物の説明を丁寧にしてくれる。

説明を聞いていると、見た目の頑固なイメージほど頑なというほどでもない。蘊蓄や説明も、押しつけて余計な話をするということではない。こちらに質問には的確に、簡潔に答えてくれる。

この日は、アカ株、青ウリ、日野根、アスパラなどが並んでいた。その季節を感じさせてくれる旬の食材しか使わないそうだ。

値段はたしかに高めの設定だ。しかしながら、東京のデパ地下で売っている「厳選高級漬物」なんてものに比べてみれば、けっして高いとは言えない。実際、この日、「ぎおん川勝」(「川勝總本家」とは違い祇園の名店)で株の漬物を買ってきたが、株一つで同じような値段だった。

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「試食をしてから買ってください」と言われ、すべての漬物を試食させてもらった結果、やはり東京ではなかなか食べられない「日野菜」を買った。滋賀県特産の紫紅色の小さい株の一種で、根が25〜30センチと細長い。ちなみにこの日野菜3本で1000円だ。

味や理屈に関しては、僕がここでグダグダと書いても伝わらないだろう。
漬け物が好きなら、京都へ行ったついでに祇園まで足を伸ばせば、オヤジさんの漬物蘊蓄を聞くのも、高いと言われる値段も、けっして無駄じゃないと感じるはずだ。

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この「一頁」と四条通りをはさんだ真向かいでは、何やら長蛇の行列ができていた。並んでいる人に聞いてみると、有名な喫茶店?でお茶を飲むために、30分ほど並んでいるらしい。 お茶を飲むのに30分も並びきっと数百円は払うのだろうが、お茶を飲むためにそれほどの時間と金をかけるなら、僕は迷わず「一頁」のオヤジさんに1000円を払うことを選ぶ。

【名 称】京漬物匠 一頁(いちぺーじ)
【MAP】ここをクリック。
     ネット上で検索してもほとんどヒットしないと思う
     ので簡単な地図を作ったからご参考に。

※ちなみに、「ぎおん川勝」の漬物もとてもおいしかったことを付け加えておく。

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おいしい京都——食事編

今回の京都では、飲み屋ばかり行ってしまって、連れていったもらった飲み屋さんはどこも楽しむことはできたけれど、自らおいしいお店を探す時間があまりとれなかった。

などと言いながらも、少ないチャンスのなかでしっかりおいしいモノを食べてきたので、今回の旅でもっとも楽しませてくれたお店を紹介。

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日曜日のお昼過ぎ、ランチタイムも終わろうかという頃、祇園の花見小路を東側に少し入った細い路地に、昔の町屋づくりのお店を発見。 雰囲気のある暖簾に「欧風懐石 ステーキ割烹」の文字。

実はすでに午前中、お店が混む前に昼食を取ろうと入ったお店で、近江牛のステーキに京野菜の炊き合わせを追加して食べたばかりだったのだが、期待していった店だったのにもう一つの味だったので、「京都で最後の食事」にしては納得がいかないと感じていた。
京都の街並みの写真を撮りながらブラブラしていたので、別に食事をしようと思って歩いていたわけではないのだが、とても気になる店構えに、思わず2度目の昼食に入ってしまった。

中にはいると、表から見るよりもかなりひろく、どうやら、地元京都の野菜や食材を使ったフレンチと、近江牛をなどをふるまうステーキ割烹と、2つに別れているらしい。以前は日本料理の料亭だったが、3年ほど前に改装して現在の店構えとなったようだ。
うまい肉でリベンジをしたかったので、まよわず鉄板焼きで楽しませてくれるカウンター席を選んだ。

かなりお腹がいっぱいだったので、シェフに「すでにかなり満腹状態なのですが、京都の思い出に残るようなおいしい近江牛を食べさせてください。それと、あまり重たくない料理で京都らしいものを」とアラカルトでお願いした。

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まずは前菜としてマリネ仕立てのサラダで食欲をわかせてくれ、そのあとに出てきたのが、車海老を湯葉で巻いたムニエル。
車海老はしっかりとした味わいで、湯葉の甘味とバターの香りはとてもマッチしている。アスパラの付け合わせも絶妙だ。焼いている途中で「こりゃぁ重いんじゃないか?」と懸念していたが、おいしい味の前にそんな心配は吹き飛んだ。

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そして、リベンジのためのフィレステーキ。 本当はサーロインを頼みたかったのだが、どうやらサーロインを頼むのは予約が必要らしい。日曜日の午後ということもあったのかも知れない。 しかしながら、とても肉らしい味を楽しむことができた。 わさび、塩、ニンニク味噌、ポン酢の4つで楽しむことができるが、上品な肉にはおろし立てのわさびが良く合う。

お腹の具合などすっかり忘れて、思わずご飯を注文してしまった。
一緒に出してくれたガーリックチップと漬け物が、これまた箸をすすませる。
肉を焼いている最中に漬け物が好きだと話していたせいか、仲居さんが、少しずついろんな種類の漬け物をだしてくれた。こうした心遣いは、料理をより一層おいしくさせてくれる。

さすがにデザートを食べる余裕はなかったのだが、シェフの料理と仲居さんの心遣いのおかげで、デザートがなくても充分に満足できる食事を楽しませてもらった。

次に行くときには、ぜひとも事前に予約をしてサーロインと、さらにデザートも楽しませてもらいたい。

【名 称】欧風懐石/ステーキ割烹 うを多
【URL】http://www.geocities.jp/gion_uwota/

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嗚呼!素晴らしき、京の旅

というわけで、京都から帰ってきた。

この3日間は、本当に楽しい3日間だった。
楽しいイベントあり、新しい出合いがあり、旧友との再会あり、おいしい食事あり。

京都で会った人たちは素敵な人たちばかりで、久しぶりに心に残る旅となった。
皆さんには温かく迎えていただき感謝している。
いや〜、関西の皆さんは本当に元気だ。そして、明るい!
いろんな意味で多くの刺激を受けることができ、しばらくは仕事や個人的な活動でも高いモチベーションを持続できそうだ。

関西で出合った人の写真を載せたいところだが、勝手に顔を公開するわけにもいかないので……

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関西で出合った人を代表(?)して、飲み屋のRYOちゃんの指の登場。
彼女には京都弁を指南いただいたが、残念ながらまったく身につかなかった。
ちなみに、3日間、およそ56時間ほど滞在したが、そのうち合計で17時間以上飲んでいた計算になる。それに対して、ホテルにいたのはたった10時間強……。

日曜日には祇園の周辺をブラブラとしてから帰ってきた。
下は祇園の路地のなんてことない風景。ちょうど南座の裏手あたりだ。

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クリックして拡大画像をみてもらえばわかるが、サラ金の看板「祇園ローン」に思わず目がいってしまった。
祇園とサラ金のミスマッチ。
考えてみれば、近くには場外馬券上もあるんでサラ金があっても不思議ではないが、「祇園ローン」には、どんなに金に困っても入りたくないなぁ……。

この他にも、もっともっと書きたいことはあるが、とりあえず京都報告第一弾はここまで。

帰ってきて早々、たっぷりと仕事がたまっている。

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ということで、京都です

紆余曲折があり、ようやっと仕事を終えて、昨日、朝一の新幹線で京都に到着した。
およそ、7年ぶりの京都だ。

いつもの取材の出張だと関西に来てもゆっくりしている時間もなく、泊まりで来られたとしても夜は摂待などがあり、楽しむ時間もないのだが、今回は、2日にわたってイベントの出席するだけなので、夜は好きな行動もできるし、明日の午前中もちょっとだけ市内観光できそうだ。

しかも、7年ぶりに昔の友達に会うことができた。
京都(といっても丹後だけど)でデザイナーをやっている人で、彼が東京にいる頃に遊んでいた友達だ。

で、昨日は京都の町を二人でふらついた。
ほんとは昨日、ブログを書こうと思ってネットカフェに行ったんだけど、めちゃめちゃ酔っぱらって、席に着いたとたんに寝ててブログを書くどころじゃなかった。
ちなみに、今日も夕方の6時から飲み始めて、今もまだ飲んでます。
ということで、とりあえず昨日、飲みに行ったお店でびっくりした食べ物を……。

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お店のお兄さんに「お勧めを持ってきて」と頼んだら出てきた「激辛若鶏炒め」なる食べ物。唐揚げとタマネギと唐辛子の炒め物なんだけど、ほとんど唐辛子。
口に入れると「辛っ!」と思う前に「痛っ!」って感じる毒物です。

京都の木屋町通りに、昔、何度も行ったお店があって、京都の古い民家をそのまま改装しないで居酒屋にしているお店だったんだけど、どうやら今は潰れてしまったらしい。たぶん、そのお店がハシリだったんだと思うけど、どうやら2〜3年前に、木屋町通りのあたりは、そういうお店がブームになったらしくて、今では数件しか残ってないそうだ。
すごくいい店だったのでもったいない。
そのお店の代わりに入った民家風のお店で出されたのが、この「激辛炒め」です。

ということで、これからもう1件のみに行って来ます。
校正していないでアップするので、しかも今日も酔っぱらってるので、誤字脱字、誤文脱文は勘弁してください。

ではでは。

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大忙し

今週末に出張を控え、それまでに仕上げなくちゃいけない仕事ですごく忙しい。

とくに、6月に創刊される雑誌の原稿は待ったなし。僕の場合、そういう“書かなきゃいけないモード”の時、ブログなどのネット・コミュニケーションは、そこで文章を書いているうちに仕事のモチベーションを下げてしまうので、控えなくちゃならない。電子メールで連絡をもらっても、それを返信することすら面倒になる。

じゃぁ書くな!
っていうか、そんなに余裕がなくて仕事の原稿なんて書けるのか???

などと、どうでもいいことをダラダラと書いていないで、ここは、ブログで姪っ子自慢ばかりしている友人にならって、我が家の猫さんたちに登場してもらおう。

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ビビさん(左)とアンさん(右)

この夏1歳になる姉妹猫だが、見た目も性格もまるっきり違う。
もともと『プリティ・ウーマン』でジュリア・ロバーツ扮するビビアンと、『ローマの休日』でオードリー・ヘップバーンが演じたアン王女からあやかって名付けたのだが、名付けた直後、友だちに「面倒だから“ビビ”と“アンで“ビビアン”」とされてしまった……。

ということで、そろそろ仕事に戻ります。
稲荷町に遊びに来るときには、彼女たちのお土産をお忘れなく。

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祭りの季節が始まる……〈下谷祭り〉


昨日と今日は、ここ稲荷町にある下谷神社のお祭りだ。
お囃子が鳴り、神輿が町を徘徊し、テキ屋の屋台が祭りに集まる人たちを楽しませてくれる。

オイラはガキの時分から祭りときくと血が騒ぐちゃきちゃきの下町っ子。
しかも下谷神社はこの長屋から目と鼻の先。
朝から子どもたちの楽しそうな声が聞こえるとあっちゃぁ、じっとはしてられねぇ。
ちっとばかり仕事を放って屋台巡りなどとしゃれこんできったってなもんだ。

と、意味もなく下町言葉を使ってみたくなるのも、不思議な祭りパワーのおかげだ。

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写真に写ってるのは、昼ご飯の代わりに食べた、イカ焼き、たこ焼き、じゃがバター。
このたこ焼きとじゃがバターは、他とはちょっと違う。

まず、このたこ焼き、普通は8つ入りの容器に6つしかはいらないほどの大きさ。中に入っているタコは、僕の小指から親指くらいの大きさだ。
一方のじゃがバター。キャベツやモヤシなどの野菜炒めの上に、小ぶりのジャガイモにたっぷりのバター。野菜炒めが入っているのも珍しいが、その上、ショウガ、高菜、白菜キムチ、カクテキ、かつお節などが好きなだけトッピングできるという優れもの。

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金魚すくいでもらった魚を近くにいた子どもにあげて、ちょっと胸焼け気味になりながら帰ってきた。アンズ飴も食べたかったが、さすがにもう食べられない。

台東区の下町はこれから夏過ぎまで、週末になると、どこからともなく祭り囃子が聞こえてくる。
たくさんの神様が毎週どこかで千鳥足になっていることだろう。

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4月のお仕事

先月は書店に並ぶような仕事が少なかったので、1冊だけの紹介。


●水のように寄り添う心——女性に宛てた日蓮聖人の手紙

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僕にとってよき先輩ライターの石井政之さんが、日本ジャーナリスト専門学校で講師をした“教え子”である久郷えりさんの著作。彼女はまだ25歳の若き出版人で、昨年、まどか出版から発行された石井さんの『顔がたり』を編集したときに助手として力を発揮してくれたことから、まどか出版の編集長から声が掛かりこの出版が実現した。 日蓮についてまったく知識がなかったという彼女が、日蓮と親交のあった女性たちに宛てた手紙を解釈し、現代でも通用する女性観について紹介している。 彼女が宗教とまったく無関係ためか、その分、無宗教である僕にも素直に人生訓として読むことができ、彼女の女性らしい文面も読んで飽きがこない。 ちなみに僕は、装幀を担当しています。

【著者】久郷えり
【発行】まどか出版
    www.madokabooks.com/
【定価】1260円(本体1200円+税)

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メーデーと労働組合と春の空

昨日、5月1日はメーデーだった。
数年ぶりにメーデーに参加して、フリーランスとはいえ、自分が労働者として社会に存在していることを意識した。

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大企業による信じられないような事件・事故が起きている。

卵や牛肉など食品偽装事件、大病院の医療ミス隠蔽事件、自動車会社のリコール隠蔽事件、航空旅客機の相次ぐミス、そして先日のJR西日本・福地山線脱線事故。
これらはすべて人の命に関わるような事故・事件だが、この他にも人命に直接関わるというほどではないにしろ、例えば銀行の顧客情報流出問題など、大企業によってもたらされた事故・事件が連日マスコミに登場している。そのマスコミでさえ、自民党の圧力によるNHK番組改編問題や、朝日新聞社の武富士による巨額資金提供など、様々な問題を抱えていることが噴出している。

この中には、以前から付き合いがあって本社の事情などをよく知っている企業や、事件を起こした企業のその後の取り組みについて取材して記事を書いたこともあるが、僕からみて事件後も心から反省しているとは思えない企業もあり、これからも注目していかなければいけないと思っている。

こうした事故や事件を起こすのは、その大企業で働いていた労働者・従業員たちである。彼らの起こした責任は追及しなければならないが、それ以上にその背景には、企業の経営陣による誤った企業運営があるはずだ。それと同時に、大企業の多くには労働組合が存在している。

こうした事件を起こした企業の労組は、いったい何をしていたんだろうか?

すでに、人権無視とも思える「日勤教育」なる再教育プログラムが、JR西日本の従業員たちに過度のプレッシャーを与え、それが今回の事故の遠因になっているのではないかという指摘が、マスコミの中でも話題になっている。
そうした過度の「従業員教育」は、労働組合が「労働者の人権を守り、労働者の地位・向上を図る」といった労組の基本的立場を発揮していれば、もっと早い段階で是正されていた可能性がある(もっとも、「日勤教育」そのものが、労組の分裂の歴史と大きく関わっているという背景もある)。

また、過密ダイヤについても、「安全な職場づくり」「安全なサービス提供」という80年代以降の連合系労組がしきりと重点課題として取りあげていた目標を、きちんと実践していれば、労組がJRに過密ダイヤの是正を要求してしかるべきではなかったのだろうか?

いずれにしても、今回の脱線事故だけでも、そこで働く従業員・労働者の代表として機能すべき労組が、健全に機能していなかったと思われる問題点が存在している。
その原点が「労資協調路線」以降の労組の弱体化だ。これは、某大手食品メーカーの牛肉偽装事件や、某航空会社の相次ぐ整備トラブルなどでも言えることである。

僕たちは働いている以上、労働者だ。
その労働者は、一人ひとりでは実現できないことが多い。だからこそ労組がある。その労組は、自分たちの権利を主張するだけの存在ではなく、結果として消費者や顧客の安全を守るために機能しなくてはいけない。
少なくとも、これからの労働組合は、企業の言いなりになるのではなく、「自分たちも消費者と同じ立場である」という観点から、自分が働く企業をチェックする必要がある。
僕自身、普段関わっている仕事について、もっと意識を高く持つ必要があるのかも知れない。

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毎年のお祭り行事のようになったメーデーだが、年々、その注目度は低くなっている。
ニートのように、労組どころか企業にすら属さない社会人も増えている。
そうした見えない要求や聞こえない声は、どこへ発散されているのだろうか?

そういえば、久しぶりのメーデー参加だったが、昔から5月1日はなぜか天気がいいような気がする。

メーデー終了後、知人たちと恵比寿で合流し、昼間の2時過ぎから夜遅くまで酒を飲んだ。
久しぶりに酔っぱらったが、最近は酔うとなぜか気分が滅入るようになった。憂鬱な気分のまま、とぼとぼと上野の街を歩いていた。上野の夜空はあまり美しいものではなく、より憂鬱にさせられる。

今日も晴れている。
天気のいい春の空は、見ているだけで気分がいい。

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ナオミはやっぱり絶叫系?
(映画『ザ・リング2』を観て)

『21グラム』('04/アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督)で、“奪われた21グラム=命”に苦しむ女性を演じたナオミ・ワッツ。ショーン・ペンとベニチオ・デル・トロという個性派とも演技派ともいえる両者に挟まれながらも、これまでの“絶叫系”といわれる演技から大きく脱皮し、すばらしい演技を見せてくれた(といっても、絶叫するシーンがあったが……)。
あの映画を見た僕の目には、ペンとデル・トロの豪華キャスティングとして話題を集めた作品で一番光る演技をしていたのは、間違いなくナオミ・ワッツだと映った。

ペンとデル・トロに触れ少なからず刺激されただろうが、それだけでなく二人の存在感を喰ってしまい「類まれなる演技力を持つ」と評価されたナオミ・ワッツが、『ザ・リング』('02)の続編に再び参加した。

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前作『ザ・リング』は、日本で貞子ブームを巻き起こした鈴木光司原作『リング』('98)のハリウッド版リメイクだったが、今回は監督に日本版『リング』のメガホンを取った中田秀夫を迎えオリジナルストーリーの作品となった。

日本版『リング』シリーズは、続編以降、貞子の生み出した‘’リング・ウイルス‘’を中心に物語が展開するが、ハリウッド版ではウイルスよりも、ナオミ・ワッツ扮する主人公・レイチェルとその息子エイダンの心理描写を中心に展開していく。その上で、サマラ(ハリウッド版の貞子)が呪いのビデオを通じて求めたものや、サマラがレイチェルたちにつきまとう要因を軸に物語が構成されている。

前作『ザ・リング』は、日本版『リング』を観た人なら物足りなかったと思う。進行、場面展開、構図、台詞まで、日本版をなぞったものであり、「あ〜、ここで貞子がテレビから出て来るんだよな〜」と思うと、その通りサマラが出てくる……、これでは、ホラー映画なのに先が分かってしまい、面白みというか恐怖感がほとんどなくなってしまう。
そういう意味では、今回の作品がオリジナルストーリーとなったことは、日本の観客にとっては喜ばしいはずだ。

(余談になるが、喜ばしいと言えば、本作で重要な登場人物となるエヴリンを演じているのは、『キャリー』('76)のシシー・スペイセクである。このキャスティングは、70年代ホラー好きな観客にとっても垂涎ものだろう)

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絶叫系から演技派へと脱皮したはずのナオミ・ワッツは、本作でもしっかりと絶叫してくれた。しかも今回は、声に出さない絶叫顔も見せてくれている。やはり、この人は絶叫がよく似合う。

さらに本作は、中田秀夫+鈴木光司のコラボ作品である『仄暗い水の底から』('01)も若干かぶる演出となっている。
そう! つまりナオミ・ワッツは、この作品で監督から黒木瞳の演技も要求されたのだ(きっと〈笑〉)。事実、彼女はインタビューの中で、『仄暗い水の底から』を観ていることを告白している。つまり、ペンやデル・トロというアメリカ俳優の演技だけでなく、今や日本でもっとも脂ののった女優である黒木瞳の演技からも影響を受けたということだ(ホントか?)。

ということで、これまでの絶叫とは一緒にしないでほしい。
これからのナオミ・ワッツの絶叫は、あの『仄暗い水の底から』で見せた黒木瞳の絶叫演技を身に付けたものなのだ。

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【作品名】ザ・リング2
    ('05/The Ring 2/アメリカ/110分)
【監督】中田秀夫
【脚本】アーレン・クルーガー
【音楽】ジョン・ブライオン
【出演】ナオミ・ワッツ(『21グラム』'04)
    デイヴィッド・ドーフマン
    サイモン・ベイカー
    (『L.A.コンフィデンシャル』'97)
    シシー・スペイセク
    (『三人の女』'73/『キャリー』'76/ほか)
    エミリー・ヴァンキャンプ
【公式サイト】http://www.thering2.jp/
※人名後ろのカッコ内は、その人の関連作品の中でのオススメ作品。

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